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約20cmの屋内専用ドローンで天井裏などを点検
10 Liberaware(リベラウェア)
設立:2016年 資本金:8.2億円 従業員数:44人

 Liberaware(リベラウェア)(千葉市)は国産の点検用ドローンを開発し、点検サービスなどを展開する。同社の屋内専用小型ドローンIBIS(アイビス)は、天井裏や地下ピット、配管内、ボイラー内部など、狭くて暗く、汚い場所を自在に飛び回り撮影をこなす優れものだ〔写真1〕。

〔写真1〕2022年夏には韓国市場へ参入
Liberawareの閔弘圭代表取締役CEO。手前の黄色いドローンがIBISだ(写真:吉成 大輔)
Liberawareの閔弘圭代表取締役CEO。手前の黄色いドローンがIBISだ(写真:吉成 大輔)
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IBISが飛行する様子(写真:Liberaware)
IBISが飛行する様子(写真:Liberaware)
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 IBISを用いて点検することで、足場の設置や設備を冷却する待ち時間が不要になり、点検期間やコストを減らせる。大きさは約20cm、重さは185gと、小型で軽量な点が最大の特徴だ。衝突や墜落しても設備を傷付けにくい。飛行可能な温度はマイナス5℃から60℃まで。人が入れないような場所でも点検できる。導入実績は250現場を超える。

 同社はIBISで撮影した動画の点群データ化なども手掛ける。さらにはひび割れなどの異常箇所を自動で検出するシステムの構築を進めている。

韓国への進出も

 Liberawareは2022年夏、日本で培ってきた技術を引っ提げて、韓国市場に進出する計画だ。

 このほか、21年にJR東日本スタートアップ、JR東日本コンサルタンツと共同で合弁会社CalTa(カルタ)(東京都港区)を設立した。この会社は主に、IBISを活用して画像や点群データを取得するサービスと、IBISやiPhoneで撮影した動画から3次元データを生成するサービスを手掛ける。

 Liberawareが目指すのは、誰もが安全に暮らせる社会をつくること。天井裏や地下など、目に見えない部分のデータを取得してリスクを把握する、「街や建物の健康診断」に商機を見いだしている。

 Liberawareの閔弘圭代表取締役CEO(最高経営責任者)は言う。「我々が蓄積していくインフラ設備の点検データを活用すれば、様々なリスクを回避できるようになる。例えばカーナビは渋滞状況だけでなく、道路の維持管理の状況によってルートを提示するようになるだろう」