全1882文字
PR

規格型住宅並みの手軽さで注文住宅を実現
33 VUILD(ヴィルド)
設立:2017年 資本金:1億円 従業員数:22人

 家の間取りや外観、内装の仕上げなどを建て主が自らアプリを操作して自由に選択し、価格を把握しながら設計できる。土地探しもサポートしてもらえるので、時間と費用がかかる注文住宅を、規格型住宅並みの手軽さで手に入れられる──。

 2022年4月からデジタル家づくりプラットフォーム「NESTING(ネスティング)」を運営するのは、米国製の木工機械「ShopBot(ショップボット)」と独自開発した3次元(3D)デザインツールを組み合わせて「建築の民主化」を目指すVUILD(ヴィルド)(川崎市)だ〔図1〕。

〔図1〕目標は2023年末までに100棟建設
「NESTING」で建てられる住宅テンプレートの1つ(資料:VUILD)
「NESTING」で建てられる住宅テンプレートの1つ(資料:VUILD)
[画像のクリックで拡大表示]
同社が国内販売代理店として全国に導入を進めた「ShopBot」(写真:日経アーキテクチュア)
同社が国内販売代理店として全国に導入を進めた「ShopBot」(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 NESTINGのサービス開始から1カ月で寄せられた住宅設計の問い合わせは約30件。同社の秋吉浩気代表取締役CEO(最高経営責任者)は、「22年内に10件を受注し、23年末までに100棟建設するのが目標だ」と意気込む〔写真1〕。

〔写真1〕住宅メーカーからの問い合わせも
〔写真1〕住宅メーカーからの問い合わせも
秋吉浩気代表取締役CEO。NESTINGには個人だけでなく、住宅メーカーなどからの相談も多い。22年5月末時点で沖縄県の石垣島や香川県の小豆島など複数のプロジェクトが進行中だ(写真:山田 愼二)
[画像のクリックで拡大表示]

企業向けサービスも視野に

 建築家と起業家の顔を併せ持つ秋吉CEOは17年の起業以降、木工の生産・流通者のネットワークづくりや、専門知識がなくても家具や建築をデザインし、部材を加工できる「EMARF(エマーフ)」の開発などに取り組んできた。

 近年では個人だけでなく、建設会社や組織設計事務所、他業界の企業との取引が増えている。EMARFの売り上げの約9割は、こうした企業から受注した業務によるものだ。

 「将来は企業をターゲットにした事業を展開し、VUILDのスケールアップを目指す」。今後の目標についてこう語る秋吉CEOは、VUILDのサービスをアプリケーションとして他社に提供することを見据えている。

 「住宅市場に参入したくても木材の加工技術や商流の機能がなく、参入できない他業界の企業が多くある。こうした企業にサービスを提供することで、建設業界と他業界をつなぐ『ハブ』として成長してきたい」