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実験住宅で「遠隔検査」などを検証
49 アンドパッド
設立:2012年 資本金:63億593万円(資本準備金含む) 従業員数:596人

 建設テック系ベンチャー企業の筆頭格として知られるアンドパッド(東京都千代田区)。写真や図面を管理したり、日報や工程表を作成したりできる施工管理アプリ「ANDPAD(アンドパッド)」を、住宅や商業施設などを手掛ける建設会社に提供している。

 利用社数は13万社、ユーザー数は33万人以上。同社の累計資金調達額は約84億円と、建設テック企業では群を抜く。

 そんな注目企業のアンドパッドが2020年10月から22年1月末にかけて取り組んだのが、延べ面積約164m2の木造住宅「ANDPAD HOUSE(アンドパッドハウス)」の建設だ〔写真1〕。自ら発注者となり、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やANDPADなどのツールをフル活用し、生産性向上の効果を検証した。

〔写真1〕自ら発注者となって効果を検証
ANDPAD HOUSEの内観(写真:アンドパッド)
ANDPAD HOUSEの内観(写真:アンドパッド)
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ANDPADのイメージ(写真:アンドパッド)
ANDPADのイメージ(写真:アンドパッド)
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国土交通省の「令和3年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(先導事業者型)」に採択された

 設計のミーティングはほぼ全てZoomで実施。全体の8割ほどのデータをANDPAD上でやり取りした。施工段階でもカメラやMR(複合現実)グラスを活用し、計300時間以上の移動時間を削減した。

 本来は中間検査の対象ではなかったが、住宅性能評価センターと共同で「遠隔検査」にも挑んだ。遠隔地にいる検査員が、カメラの映像などを基に耐力壁のくぎのピッチなどを確認。検査結果をANDPAD上に記録した。今井亮介執行役員は、「通常の検査より時間はかかるが、現場によっては移動時間を大きく削減できる。検査員の高齢化問題の解決にも役立つ」と手応えを語る〔写真2〕。

〔写真2〕豊富な人材が成長を支える
〔写真2〕豊富な人材が成長を支える
左から岡本杏莉執行役員、稲田武夫社長、今井亮介執行役員。弁護士資格を持つ岡本氏は法務部長などを務める。今井氏は日本設計出身で1級建築士(写真:アンドパッド)
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