全3385文字

MR技術を武器に建設会社の懐へ
77 ホロラボ
設立:2017年 資本金:9394万円 従業員数:47人

 「会社を設立した当初は、建設業界の企業と仕事をするなんて考えもしなかった」。こう当時を振り返るのはHoloLens(ホロレンズ)をはじめとするMR(複合現実)デバイスやスマートフォン、センサーなどを用いたシステム開発などを手掛けるホロラボ(東京都品川区)の中村薫代表取締役CEO(最高経営責任者)だ〔写真1〕。

〔写真1〕建設業界に特化したチームを設置
〔写真1〕建設業界に特化したチームを設置
右からホロラボの中村薫代表取締役CEO、関根健太AECチームプロジェクトマネージャー(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 ホロラボは2019年にIT流通事業などを展開するSB C&S(東京都港区)と、3D CADやBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)で作製した設計データをHoloLens用に変換できるクラウドサービス「mixpace(ミクスペース)」を開発した〔図1〕。

〔図1〕大容量データにも対応可能
〔図1〕大容量データにも対応可能
旧都城市民会館をMRで表示した様子。mixpaceを改良し、1億ポリゴンから成る3次元モデルの表示などを可能にした(資料:ホロラボ)
[画像のクリックで拡大表示]

 mixpaceを開発する前の主な取引先は製造業だったが、開発後に建設会社などからの問い合わせが増えていった。22年5月時点では、取引先の約2割が建設業界の企業だ。

リピートで売り上げが4割増加

 mixpaceの提供を開始した当初は、このサービスを使いたいという問い合わせが多かった。しかし、建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた取り組みが進むにつれて、ホロラボに舞い込む依頼の内容は変化していったという。

 「今では業務効率化のためのデジタルツールの開発を依頼されることもある。受託開発を中心に取り組んできた結果、既存の顧客から継続して別の業務を依頼されることが多くなっていった」(中村CEO)。20~21年にかけて、取引先の建設会社数は変わっていないが、建設関連の売り上げは約4割も伸びたという。

 21年ごろには、建築設計などの経歴を持つ人材の採用に注力して、ホロラボの体制も変えていった。22年には建設業界に特化した「AECチーム」を新設した。

 中村CEOは、「建物の維持管理に役立つツールの開発から、デジタル空間での建築設計の依頼まで、建設会社の要望は多岐にわたる。こうした依頼を専門的な知識を持ったチームで対応して、提供するサービスの質を高めていきたい」と意気込む。