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国内初となるメガストラクチャーのハイブリッド木造ビル「KITOKI(キトキ)」。6月に開かれた見学セミナーには、建築設計者など約500人が詰めかけた。新たな高層木造建築の形に、多くの建築関係者が熱視線を注いでいる。
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造による3層飛ばしのメガストラクチャーの内側に木造の構造物を入れ子状に組み込む──。東京・日本橋兜町で4月、平和不動産のハイブリッド木造ビル、KITOKIが竣工した〔写真1〕。
木材使用量 144.8m3
材積率 0.18m3/m2
〔写真1〕高さ約35mの高層ハイブリッド木造ビル
南東側の1階に飲食店舗の入り口がある。低層部には秋田県産のクリの木を丸太のまま化粧梁として使用した。木材使用量は仕上げを除いて144.8m3(写真:北山 宏一)
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建物は10階建てで、最高高さ約34.5m。延べ面積は約790m2だ。設計・施工はADX(福島県二本松市)が担当した。
KITOKIはSRC造と木造のハイブリッド構造。おおよそ1m角の柱と梁せい1~1.3m程度の梁で構成されたSRC造のメガストラクチャーが建物全体を支える。柱スパンは南北方向に約6.4m、東西方向に約5.6m。高さ約10mの層が3つ重なった巨大な構造体だ。
その内側に木造の構造物を挿入して、各層を3フロアに分割する。メガストラクチャーの内側は計9フロアになる。建物の内部には、SRC造と木造の空間が混在する〔写真2、3、図1〕。
〔写真2〕木の梁が現れた事務室
木造のフロアのうち2階、4階、7階は家具などを入れた状態で貸す。内装デザインはparkERs(パーカーズ、東京都港区)が手掛けた。写真は7階。天井高は約2.8m、梁下で約2.3mだ(写真:北山 宏一)
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〔写真3〕木造のフロアとSRC造のフロアが混在する
SRC造のフロアは3階、6階、9階。メガストラクチャーの梁が現れる。写真は6階。天井高は約3mだ(写真:北山 宏一)
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〔図1〕SRC造の構造体に木造の構造物を入れ子状に組み込む
メガストラクチャーの柱は南北方向1スパン、東西方向2スパン。木造構造物は減築や増築ができるようになっている。ニーズに合わせて内部空間の構成を変えられる(資料:ADXの資料に日経アーキテクチュアが加筆)
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