ラチス状の木と鉄骨のハイブリッド耐震システム、「木鋼組子(もっこうくみこ)」を初採用した13階建てのオフィスビルが9月にオープンする。東京都心の交差点に立ち、ガラス越しに木質ビルであることを街にアピールしている。
ガラス窓の奥に見える木組みが、高層階まで続いている。東急不動産が東京都渋谷区道玄坂1丁目の交差点角に賃貸オフィスビル「COERU SHIBUYA(コエルシブヤ)」を建設した。高さが約48mの中規模ビルだ。6月末の竣工時点では、鉄骨造と木造の混構造で国内最大級の階数である。
一番の特徴は、前田建設工業とホルツストラ(東京都杉並区)が共同開発した木鋼組子システムを、2~13階の壁2面に設置したことだ〔写真1〕。建物の長期荷重を負担していないので耐火被覆せず、木を現しにできた。天然木の温かみがあるデザインと構造を融合できている。
木鋼組子はガラス窓より少し室内側に、壁のように設置している〔写真2〕。遠くからの視認性が高く、通りを歩く人々へのアピールも抜群だ。
材載率 0.056m3/m2
コエル シブヤが木質ビルであることを伝えるのに、木鋼組子は大きく貢献している。ラチス状にしたことで、室内から外への見通しも良い。室内の木質感を高めるため、10~13階の天井の鉄骨梁は耐火被覆に木質ハイブリッド集成材を使い、木の現しにした。
樹種は、欧州アカマツとカラマツだ。オフィスには木の香りが漂う。
建物の設計・施工は前田建設工業が担当。敷地面積は174.56m2で、延べ面積は1408.19m2。1フロアの面積は約99m2である。