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米国で高さ約34mの木造建築を実際に揺らす振動台実験の計画が進む。日本では“未開地”となる耐震構造の高層純木造建築。ブレイクスルーをもたらす可能性を秘めた実験に、日本の住宅会社も乗り出す。

 高さ約34m、10階建て高層木造建築の実大振動台実験「NHERI(自然災害工学研究インフラストラクチャー)トールウッド・プロジェクト」。全米科学財団(NSF)の助成を受けて、土木工学を専門とする米コロラド鉱山大学のシリング・ペイ教授ら約40人が進めている計画だ。米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)で実施する〔図1〕。

〔図1〕高さ約34mの高層木造建築を実際に揺らす
〔図1〕高さ約34mの高層木造建築を実際に揺らす
試験体の3次元モデル。実験では外壁や仕上げ材、階段も取り付ける。右上はカリフォルニア大学サンディエゴ校の振動台(資料:NHERI TallWood Project Teamの資料に日経アーキテクチュアが加筆、写真:カリフォルニア大学サンディエゴ校)
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 日本国内でも過去に兵庫県三木市の防災科学技術研究所・兵庫耐震工学研究センターの3次元振動実験施設(通称、E-ディフェンス)で、高さ20mを超える木造建築の実大振動台実験が実施されている。しかし、E-ディフェンスは屋内施設であるため高さに限界があった。

 屋外の振動台を使うトールウッド・プロジェクトは、高層木造建築の実大振動台実験としては「世界最大」になるという。

 米国では2020年に建築基準であるIBCが改正されたことにより、18階建ての木造建築が建てられるようになった。トールウッド・プロジェクトはその改正に伴って実施するものだ。1994年に米カリフォルニア州で発生したノースリッジ地震の観測波を用い、木造10階建ての試験体を揺らす。計画は当初から遅れ、2022年7月上旬に試験体着工、同年12月に試験実施を予定している。