中層木造の新たな選択肢として、「準耐火構造」が急浮上している。国土交通省が進める防耐火基準の合理化で適用範囲が拡大したためだ。完成すれば日本初となる、準耐火木造4階建て賃貸住宅が3月に着工した。
「木造」「地上4階建て」「準耐火構造」「現し」──。そんな賃貸住宅が、徳島市で着工した。
プロジェクト名は「awa(アワ)もくよんプロジェクト」。徳島県が進める県営新浜町団地(徳島市)の建て替え計画で、旧3棟を1棟に集約し、「福祉」「子育て」「防災」といった地域貢献施設を合わせて整備する。県が2020年に実施した設計コンペでは、木造の専門家である坂本功・東京大学名誉教授が審査委員長を務めた。
最優秀作に選ばれたのが、内野設計・島津臣志建築設計事務所・カワグチテイ建築計画共同企業体(以下、設計JV)の「軸組もくよんが紡ぐ、重なり合う営みと風景」だ〔図1〕。
既に実施設計が完了。県は入札を経てBTO(建設・移管・運営)方式のPFI(民間資金を活用した社会資本整備)事業者として亀井組・岡田組特定建設工事共同企業体を選定。22年3月に着工した。