「当初は一般的なスタジアムとする方向で計画に着手し、積算したところ80億円以上になると分かった。しかし、地元企業からの出資20億円、我々の借入20億円が資金調達の限度。建設費40億円までに抑えるため、抜本的見直しを図った」
愛媛県今治市の丘陵地で建設中の「里山スタジアム」〔図1、2〕。事業主体となる今治.夢ビレッジ(愛媛県今治市)取締役新スタジアムプロジェクトリーダーの吉田進一氏はこう語る。
今治.夢ビレッジは、サッカークラブのFC今治を運営する今治.夢スポーツ(同市)の子会社。同クラブは今回敷地の隣に2017年、ホームとなる5000人収容の「ありがとうサービス.夢スタジアム」を確保している。
「J2以上を目指す際に、Jリーグの施設基準が求める増設の余地が敷地にない。いずれ新スタジアムが必要になると想定し、18年末には作業を本格化させた」と吉田氏は語る。
公募とは違い、地域で既に実績のある事業者から提案を受けた形になる。今治市では18年から営業戦略課、22年からスポーツ振興課などが担当し、協議を進めている。
準工業地域のため、用途の制約は少ない。事業面の自由度を確保するため、民設民営を指向した。その場合に地代(賃料)や固定資産税、減価償却費の負担が生じる。今治.夢スポーツ側は市に対し、市有地の無償貸与を要望した。
スタジアムの設計は梓設計(東京都大田区)に委ねると決め、計画に着手。冒頭のように、当初の80億円から半減させる再提案を要請した。