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 「発注業務をクリエーティブなものにしたい」。地方都市で市の財産活用に従事する行政職員の思いが、スポーツ施設の改修事業に結実した。

 津山市総務部財産活用課長の川口義洋氏はファシリティーマネジメント(FM)の観点から、市の公共施設の再編に携わってきた。2022年5月開業の「Globe Sports Dome(グローブスポーツドーム)」は、中心市街地北部の公園内に立つ旧「グラスハウス」の利活用事業〔写真12図1〕。PFIのRO(Rehabilitate Operate)方式とコンセッション方式を組み合わせている。

〔写真1〕レジャープールの造形物を残しながらリノベーション
〔写真1〕レジャープールの造形物を残しながらリノベーション
グリーンヒルズ津山内に開業した「Globe Sports Dome」。改修によってウオータースライダーを撤去し、屋内プールを埋めた以外、既存の造形物の多くは生かした。左手のガラスブースも既設物(写真:生田 将人)
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〔写真2〕損なわれていた透明性
〔写真2〕損なわれていた透明性
改修前は寒冷紗の日よけスクリーンをガラス壁の内側に設置していた。改修後も同じ仕様を想定していたが、スクリーンを撤去してみると印象が好転したので、透明性の高い当初期のドームの状態に復活させた(写真1)(写真:津山市)
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〔図1〕要所に日よけを追加して快適性を確保
〔図1〕要所に日よけを追加して快適性を確保
(資料:津山市)
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 グラスハウスは1998年に完成。健康増進用の温浴施設の役割を与えられたが、むしろウオータースライダーを持つレジャープールとして親しまれた。2011年に、当初所有者の岡山県が津山市に譲渡した建物だ。

 10年代後半、市営施設として最大の赤字となる点などが問題視され始めた。年間の指定管理料が約1億円、水道光熱費が6000万~7000万円。「老朽化し、温水プールのまま使うには20億~30億円の設備更新コストを要する。7割方が市外からの利用者で、公益性の面からも扱い方を検討する余地があった」(川口氏)