14棟から成る団地型マンション「エステート貝取-2」は、3回目の大規模修繕の際に、性能向上改修を選択。当初計画にはなかったサッシ交換と外断熱改修を追加した。それを可能にしたのは、2つの補助金の受給だ。
築39年のエステート貝取-2(東京都多摩市)の大規模修繕等準備委員会は、3回目の大規模修繕に際して改修と建て替えを比較検討し、改修で長く住み続けることに決めた。建て替えを見送ったのは、1住戸当たり78m2の負担額が約4400万円に上ることが分かったからだ〔写真1〕。
当初計画していた大規模修繕項目は、外壁塗装と屋上防水、給排水管の更新だったが、サッシと玄関扉の交換と外断熱改修を追加した。
理由の1つは、多摩市の優良建築物等整備事業と国土交通省の長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金を、いずれも受給できる見込みがついたことだ〔図1〕。
補助金は重複して申請できないのが一般的だ。市と相談したところ、補助金の使い道を多摩市の分と国の分に分けて、年度をずらして申請すれば、2つの補助金を受給できることが分かった。そこで、2021年度はB工区の棟でサッシと玄関扉の交換、A工区の棟でそれ以外の工事を行い、22年度は工事内容を入れ替える工程を組んだ。サッシ工事は外断熱を傷付けないように、室内側からの入れ替えとした〔写真2〕。