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改修と並ぶ老朽マンション再生へのもう1つの道筋は全面刷新、つまり建て替えだ。課題は資金調達に必要な事業協力者の確保。好条件の案件はすでに建て替え済みと言われる中、建て替えを可能とする要件とは何か。

 マンション建て替えでは事業資金の多くを第三者である事業協力者に頼ってきた。法定再開発や等価交換と共通の構図の下、好条件の案件であれば、区分所有者は経済的な負担なしに建て替えを実現できた〔図1〕。

〔図1〕等価交換方式による建て替えの基本の考え方
〔図1〕等価交換方式による建て替えの基本の考え方
区分所有者は元の土地・建物の権利と必要に応じて拠出した資金に見合う権利床+保留床を建て替え後のマンションで手に入れる。事業協力者は拠出した資金に見合う保留床を建て替え後のマンションで手に入れ、それを第三者に売却することで資金を回収する(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 本来は戸建て住宅と同様、所有者が資金を負担して建て替えるのが筋だ。しかし、「それは現実的ではない」と指摘するのは、旭化成不動産レジデンス(東京都千代田区)マンション建替え研究所の大木祐悟副所長だ。

 「年齢や家計など条件が異なる中で、区分所有者が同じように借り入れを起こしたり手持ち資金を拠出したりすることは難しい。金融機関としても、建物解体後の更地の共有地に担保は設定し難い」