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国土交通省は2020年、マンション管理適正化法とマンション建て替え円滑化法を改正した。22年4月に施行された改正マンション管理適正化法では、自治体が民間マンションにアメとムチの両面から関与できるようになった。

 適切な運営管理を評価するアメと、助言や指導、勧告というムチ。2022年4月に施行された改正マンション管理適正化法では、自治体が2つの面から民間マンションの管理に関与できるようになった〔図1〕。

〔図1〕行政は「アメ(誘導)」と「ムチ(底上げ)」でマンション管理の適正化を目指す
〔図1〕行政は「アメ(誘導)」と「ムチ(底上げ)」でマンション管理の適正化を目指す
国の基本方針に基づき、マンション管理の適正化を推進するのが自治体の役割。法改正では、自治体が「助言・指導・勧告」やマンション管理適正化推進計画に基づく「マンション管理計画認定」を行えるようになった(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 ムチとなる底上げ策では、管理組合の管理者などに対して自治体が助言と指導を、都道府県知事などが勧告をできるようにした。

 アメとなる誘導策が、マンション管理計画認定制度だ。都道府県や市区は任意で「マンション管理適正化推進計画」を策定でき、そこで示した基準を満たすマンションの管理計画を都道府県や市区の長が認定する。適切な管理をするマンションの市場価値を高めるのが狙いだ。認定を受けたマンションを対象に、住宅金融支援機構のフラット35などの金利を引き下げる特典も用意した。

 助言・指導・勧告や管理計画認定の判断基準は、国が定めている。管理者の選定や集会の開催、管理規約の作成、管理費と修繕積立金、長期修繕計画などに関する内容だ。いずれも、自治体は地域の状況に応じて独自の判断基準を上乗せできる。