快適性に優れた人中心のまちを国が「ウォーカブル」と呼び、関連の法改正によって全国の都市再生の指針に掲げた。厳しく管理してきた道路など公共空間の占用許可基準を緩和。今後、民間の力を借り、エリア再生の核として活用する。公共空間、そこに設置される施設、沿道やエリアの民間建物、それぞれのデザインに波及し、まちの姿は様変わりするはずだ。こうした動きを先取りする、注目のまちの現在をリポートする。
使える河川に
2011年 河川敷地占用許可準則改正
- 東京都「かわてらす」など河川空間活用が始まる
- 国交省「ミズベリング」が普及啓発の成果を示す
使える公園に
2017年 Park-PFI制度(都市公園法改正)
- 法改正では保育所の設置なども認めて実績を生む
- 2021年末時点で既に100以上のPark-PFIが実現
使える道路に
2020年 ほこみち制度(道路法改正)
- 「コロナ特例」の緩和を経て道路法改正に至る
- 車中心から脱し、都市のコンパクト化を誘導する

河川や公園に隣接建物をオープンにつなげる試みは徐々に現れている。道路が滞留可能な空間となれば、沿道やエリアの民間建物にもデザインの刷新が促される。公地と民地の連携は、再開発と異なる手法でまちを変え得るインパクトを持つ
2020年 都市再生特別措置法・一部改正
WALKABLE
居心地が良く歩きたくなるまち
ウォーカブル推進は、改正都市再生特別措置法を根拠とする。同法が推し進めてきた大規模再開発とは異なるアプローチで、きめ細かなエリアリノベーションによる日常空間の回復を担う。全国自治体が乗り出したのは、差し迫ったニーズがあるからに他ならない