全1515文字
PR

時代の変化に伴って、ファサードに求められる役割も多様化してきた。ファサード設計で長年、著名な設計者たちの“カウンターパート”として活躍してきた2人のキーパーソンに、次世代に向けた潮流を聞いた。

 「国内建築のファサードにおけるデザイン性は、2000年代前半に急速に高まった」。そう分析するのは、FACADE LAB(ファサードラボ)(東京都港区)の小野田一之代表取締役社長だ〔図1〕。小野田社長は、青木淳氏や永山祐子氏といった設計者と共に30年近く、ファサード設計に取り組んできた。

〔図1〕時代の変遷と共にファサードも変貌
〔図1〕時代の変遷と共にファサードも変貌
FACADE LABの小野田社長が語るファサードの転機。2000年代前半は装飾としての役割が強まった。その後、環境配慮が求められ、今は機能性と意匠性を高めたファサードが主流に(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
[画像のクリックで拡大表示]
小野田 一之(おのだ かずゆき)氏 FACADE LAB代表取締役社長
小野田 一之(おのだ かずゆき)氏 FACADE LAB代表取締役社長
1964年生まれ。旭硝子中央研究所に入社後、旭ビルウォールに配属。同社取締役常務執行役員営業部長や技術本部長などを歴任。2021年FACADE LABを設立(写真:日経アーキテクチュア)

 バブル崩壊から景気回復に向かっていた2000年代前半、海外のハイブランド企業は日本のマーケット獲得に向けて、表参道や銀座といった商業地に旗艦店を出店。そこで青木氏や隈研吾氏、SANAAなど当時の若手設計者が次々と起用された。

 この時期、ファサードはブランドコンセプトなどを描くキャンバスのような場として、競い合うように個性的な表現が用いられてきた。「ディオール表参道(東京都渋谷区)やOne表参道(東京都港区)などをはじめ、アクリルやガラス、木材などを活用して、当時は見たこともなかったデザインが続々と誕生した」(小野田社長)