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日本でも高さ400m級の超高層建設が現実味を帯びてきた。従来の想定を超えた「超・超高層」には、これまでにない風荷重が作用する。清水建設は世界最高性能の試験装置をフル活用し、外装の最適設計に挑む。

 建物形状によって違いは出るものの、超高層ビルでは建設費の約5%を外装のカーテンウオール関連に費やしている。だが実大部材を使った試験は容易ではなく、性能検証は意外に進んでいない──。そんな課題を指摘するのは、清水建設生産技術本部建築技術部の安田辰雄・外装グループ長だ。

 「構造の大変形や風荷重を受けても『破損・脱落しない』というクライテリアを満たすため、従来は安全率を高く見積もる格好で対応していた。いうなれば『足し算の発想』だ。こうした日本のカーテンウオール設計は、過去20年から30年にわたって、ほとんど変わっていない」(安田グループ長)

 安全率が大きくなるにつれ、部材重量も増えている。超・超高層を見据え、新たな設計手法が必要になっている、と安田グループ長は説く。

 清水建設が2021年、千葉県市原市で完成させた試験装置は、そうした問題意識から設置したものだ。

 この装置は、最大で建物の2層分に当たる高さ9mの試験体を受け入れ可能で、静圧2万パスカル(Pa)、脈動圧1万5000Paの風荷重を発生させる。静圧は風速189m/秒の風荷重に相当し、高さ500mの超・超高層での想定に当たる。

 枠の水平方向に向け、建物の層間変形相当の変位を与えることもできる。同社では「カーテンウオール外壁の試験装置としては世界最高性能」と、その実力を誇る〔写真1図1〕。

〔写真1〕500m超高層の外装試験が可能
〔写真1〕500m超高層の外装試験が可能
清水建設によるカーテンウオール部材の層間変位試験の模様。この試験装置では最大で高さ500mの超高層で想定される風速189m/秒に相当する風荷重も再現できる(写真:清水建設)
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〔図1〕複数の試験を効率実施
〔図1〕複数の試験を効率実施
試験装置の3Dパース。赤い部分が躯体を模した試験体の取り付け部分。赤い部分は可動式となっており、耐風圧試験からすぐ変位試験に切り替えるなど効率的な試験が可能となった(資料:清水建設)
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