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ファサードの未来はどこへ向かうのか。設計事務所、建設会社、エンジニアリング会社、それぞれの設計者に今後の展望を聞いた。

アクティビティーもデザインに搭載
永山 祐子氏 永山祐子建築設計主宰

ながやま ゆうこ
ながやま ゆうこ
1975年生まれ。98年、昭和女子大学生活美学科卒業。同年、青木淳建築計画事務所(現AS)に入社。2002年、永山祐子建築設計を設立(写真:木村 輝)

 以前は、ガラスファサードに“ネガティブ”な印象を持っていました。ガラスはソリッドで周りを映し込み、透明とはいえ強い物質感を持つ素材です。デザインの面で、ガラスの反射には、悩まされてきました。

 「東急歌舞伎町タワー」 「“永山ドレス”で都市の象徴に、特殊加工で光の反射をデザイン」参照 では、むしろガラスの反射をコントロールすることで、その場所にしかない超高層をつくろうと考えました。ゆらぎのある幻想的なイメージを目指し、耐候性の高いシルクスクリーンで噴水を表現しました。

 これからの技術で関心があるのは、ガラスのコールドベントです。でも今はまだ事業者の理解を得るのが容易ではないですね。強化ガラスを使うので、コスト的に厳しい面もあります。さらに日本は地震国なので、ゆがんでいるファサードで利用者に不安感を抱かせないかと懸念する向きもあるでしょう。日本ではやはり安全性に対して200%ぐらいの信用材料をそろえないと、なかなか実装に至らないのが現状です。

 一方、表層のマテリアルよりもアクティビティーをデザインにしたのが、東京・大手町の「Torch Tower(トーチタワー)」(2027年度竣工予定)。地上から高さ60m程度まで空中散歩道を設けます。構造体の外側に小さな区画をつくり、さまざまな規模のテナントを入れる計画です。ファサードから商業のありようが変わるとうれしいですね。

 脱炭素化も何が正解か難しい。「JINS PARK」(21年)は、経年で味が出るようにと、銅素材で覆いました。恒久的に建物が立ち続けるならそれも低炭素かもしれません。(談)

建設中の東急歌舞伎町タワーの見上げ。ホテルや劇場などが入るエンタテインメント施設だ。2023年完成予定(写真:安川 千秋)
建設中の東急歌舞伎町タワーの見上げ。ホテルや劇場などが入るエンタテインメント施設だ。2023年完成予定(写真:安川 千秋)
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27年度竣工を目指す「TORCH TOWER」の低層部イメージ。地上1~8階に空中散歩道を設ける(資料:三菱地所)
27年度竣工を目指す「TORCH TOWER」の低層部イメージ。地上1~8階に空中散歩道を設ける(資料:三菱地所)
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前橋市に完成した「JINS PARK」。屋根と外壁を、幅が異なる硫化銅板で覆った(写真:阿野 太一+楠瀬 友将)
前橋市に完成した「JINS PARK」。屋根と外壁を、幅が異なる硫化銅板で覆った(写真:阿野 太一+楠瀬 友将)
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