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岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」で、人への投資は重点課題だ。国が賃上げ企業を入札で優遇するなど、賃金上昇圧力が高まる。設計事務所への調査では、2022年度に8割超が賃上げを実施すると分かった。

 日経アーキテクチュアが所員20人以上の設計事務所などに実施した調査で「2022年度に賃上げを実施するか」と尋ねたところ、「既に実施した」企業は99社中57社、「実施する予定」の企業は24社だった。「実施しない」と回答したのは2社にすぎなかった〔図1〕。

〔図1〕賃上げを実施する企業が8割超

設計事務所の賃上げ意欲は高い。2022年度に賃上げを実施する企業が8割を超えた。「未定」と回答した企業でも、「今後、状況により賃上げを検討する可能性がある」(八千代エンジニヤリング)といった前向きな声が上がる(資料:日経アーキテクチュア)
設計事務所の賃上げ意欲は高い。2022年度に賃上げを実施する企業が8割を超えた。「未定」と回答した企業でも、「今後、状況により賃上げを検討する可能性がある」(八千代エンジニヤリング)といった前向きな声が上がる(資料:日経アーキテクチュア)
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  • 若年層の給与を他社と同水準にする。若手管理職の報酬額を引き上げる(三菱地所設計)
  • 入札において賃上げ企業に加点する制度への対応(梓設計)
  • 社員が生涯にわたり活力をもって働ける環境を整備する一環として給与制度改革を実施(類設計室)
  • 物価が上昇していくなか、従業員の生活を守るため。従業員の定着率を高めるのも目的(三橋設計)

 賃上げを実施する企業からは、「物価が上昇するなかで、従業員の生活を守るため」(三橋設計)、「社員のモチベーション向上のため」(JFE設計)といった意見が上がった。

 梓設計や総合設備コンサルタントなどは、賃上げ企業に対する入札優遇制度への対応を理由に挙げた。国が総合評価落札方式で調達する案件のうち22年4月1日以降に契約を結ぶものについて、従業員の年間給与を大企業で3%、中小企業で1.5%引き上げると表明すれば、入札で加点を受けられる制度だ。

 設計事務所は他業界と比べて、賃上げに積極的だと言えそうだ。東京商工リサーチが様々な業種の企業に対して22年2月初旬に実施した調査では、6781社のうち71.6%が「2022年度に賃上げを実施する」と回答した。日経アーキテクチュア調査で「既に実施した」と「実施する予定」を合計すると、全体の約82%を占めており、この調査結果を約10ポイント上回る。