2020年に受験要件が変わり、在学中の1級建築士試験合格者が増えている。日経アーキテクチュア調査では、回答を寄せた設計事務所の約5割が、合格者を新卒採用の際に「優遇したい」と前向きに評価している。
日経アーキテクチュア調査で売上高が20位以内にランクインした企業のうち、2022年4月入社実績と22年度の新卒採用計画を回答したのは16社。このうち半数が採用を増やす計画だと分かった〔図1〕。人材の質・量が競争力の源泉である設計事務所にとって、若手の確保は重要な課題の1つだ。
新卒採用で重視する点は、企業や時代によって変わる。1級建築士試験合格者の扱いは、最新テーマの1つといえるだろう。
20年3月の改正建築士法施行で、それまで1級建築士試験の受験に必要だった実務経験が「免許登録要件」になった。そのため、大学などを卒業してすぐに受験できるようになり、施行前の19年には存在しなかった23歳以下の合格者が、21年には約290人まで増えた。学生・研究生の合格者も増えており、21年は前年比49%増の88人だった〔図2〕。
三菱地所設計では22年4月入社の新卒社員25人のうち2人が、佐藤総合計画では10人のうち1人が1級建築士試験の合格者だという。