国土交通省は、2022年4月の断熱等級5に続いて、10月に等級6と7を施行する。等級7は、現行の断熱等級4よりも一次エネルギー消費量を4割削減できる水準だ。「技術革新を促す高い基準」と位置づけられている。
2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、国は省エネ関連の基準整備を進めている。小規模な住宅については、2025年に省エネ基準の適合義務化が控える。並行して、住宅性能表示制度でも、より性能の高い断熱等級の整備が進む。ZEH基準の断熱等級5は22年4月に施行済み。さらに上位の等級6と7が22年10月に施行される。
住宅の外皮性能を示す断熱等級は、外皮平均熱貫流率(UA値)と、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)で構成される〔図1〕。UA値は、室内と外気の熱の出入りのしやすさの指標で、値が小さいほど熱が出入りしにくく、断熱性能が高いことを示す。ηAC値は、太陽日射の室内への入りやすさの指標で、値が小さいほど日射は入りにくくなり、遮熱性能が高い。
上位等級は、社会資本整備審議会の建築分科会建築環境部会に設置された建築物エネルギー消費性能基準等小委員会で検討した。ここで、民間基準であるHEAT20(20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)が提案するG3やG2のUA値が引き合いに出された。この値を基に、省エネ基準が想定する冷暖房の一次エネルギー消費量と比較して、等級7が約4割削減、等級6が約3割削減となるようUA値を決めた〔図2〕。小委員会の委員を務める北海道立総合研究機構の鈴木大隆理事は、「断熱等級7は技術革新を促すための基準」と位置づける。