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断熱等級6と7を満たすには、どんな仕様にすればよいか。日経アーキテクチュアは断熱材メーカ6社から提案を得た。各社の回答を見ると、東京を含む6地域では、等級6が外壁の付加断熱なし、等級7が付加断熱での対応となりそうだ。

 日経アーキテクチュアは複数の断熱材メーカーに、6地域で断熱等級6と7を満たす外皮仕様の提案を依頼。6社から回答を得た〔図1〕。住宅・建築SDGs推進センターが示す温暖地の自立循環型住宅モデルに統一して仕様を作成してもらった。

〔図1〕断熱材メーカー6社の提案仕様
(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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断熱材メーカーが提案する等級6と7を満たす仕様をまとめた。外壁の赤字は付加用断熱材の仕様を示す。外皮仕様は各社が自立循環型住宅の温暖地モデル(住宅・建築SDGs推進センターの発行する「自立循環型住宅への設計ガイドライン」に記載)を使い外皮の平均熱貫流率を計算して基準を満たすことを確認した。基礎の熱貫流率計算について、旭ファイバーグラスと日本アクアは2021年4月に加わった新方法、デコス、アキレス、旭化成建材、デュポン・スタイロは旧方法を使用している。旭化成建材は部位の熱貫流率を面積比率法で計算している

 回答を見ると、外壁の断熱については、各社の提案はおおむね共通していた。等級6では付加断熱を用いず、等級7は付加断熱で対応するというものだ。一方、天井や屋根の断熱については、各社の対応が異なっていた。以下に詳しく解説する。

 外壁の断熱では、等級6に付加断熱を用いずに対応するため、いくつかのメーカーは、自社の標準品よりも断熱性能の高い製品を使うことを提案する。

 グラスウールメーカーの旭ファイバーグラスは、自社で最も断熱性能の高い「アクリアウールα」の36Kを105mm角の柱間に充填する仕様で、等級6の性能を確保する〔写真1〕。

〔写真1〕最上位製品で厚さを105mmに抑える
〔写真1〕最上位製品で厚さを105mmに抑える
等級6の外壁は一般的な高性能グラスウールよりも性能が15%アップする「アクリアウールα」の36K(密度36kg/m3)を105mm角の柱間に充填。等級7は外側に同厚の同製品の充填断熱を付加する(右上の写真)(写真:旭ファイバーグラス)
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 現場発泡ウレタンメーカーの日本アクア(東京都港区)は、ビルやマンションで使用している密度の高い高性能の「アクアフォームNEO」で吹き付け厚さを85mmに抑える〔写真2〕。

〔写真2〕ビル用の製品を住宅用に展開
〔写真2〕ビル用の製品を住宅用に展開
等級6の外壁はこれまでビル用に使っていた「アクアフォームNEO」を厚さ85mmで柱間に充填。同製品は標準品と比べて密度が3倍で、厚さを約40%以上減らせる。等級7はフェノールフォームの外張りを追加する(写真:日本アクア)
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 押し出し法ポリスチレンフォームメーカーのデュポン・スタイロ(東京都千代田区)は、高性能の「スタイロフォームFG」を使って、従来と同じ50mmの厚さとする〔写真3〕。

〔写真3〕等級6は50mmの外張り
〔写真3〕等級6は50mmの外張り
等級6の外壁は「スタイロフォームFG」を厚さ50mmで外張りする。同社の標準品だと同じ断熱性能を確保するのに65mmの厚さが必要になる。等級7では外張りの厚さを75mmにして充填断熱を追加する(写真:デュポン・スタイロ)
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 等級7では、各社とも付加断熱で対応する。追加する断熱材を設置する位置は、各社、工夫を凝らす。

 また、付加断熱は施工手間が増すので、その軽減が課題だ。フェノールフォームメーカーの旭化成建材は、「ネオマフォーム」を柱・梁の間と外側に工場で張ってパネル化する仕様で、現場での施工の省力化を提案する〔写真4〕。

〔写真4〕パネル化で付加断熱の手間を軽減
〔写真4〕パネル化で付加断熱の手間を軽減
等級7の外壁は「ネオマフォーム」を柱・梁の間と外側に張ってパネル化することで、付加断熱の現場での施工負担を減らす。旭化成建材はパネル用の納まりで30分の防火構造を取得している(写真:コーチ)
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