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日建設計はVR(仮想現実)事業を展開するジオクリエイツ(東京都港区)と共同で、バーチャル避難訓練ツールを開発した。参加者の避難時間や視線を分析して、サイン計画や誘導灯の設置場所の検証などに生かす。

 職場があるビルで火災が発生。早く外に出たいが、どこから避難すればいいのか記憶があやふや。迷っているうちに煙が充満してきた──。コロナ禍で多人数での避難訓練の実施が難しくなった昨今、火災時にこうした事態が生じかねない。

 日建設計とジオクリエイツは2021年12月、遠隔地からでも避難訓練に参加できるツール「バーチャル避難訓練」(以下、VR避難ツール)を共同で開発。日建設計東京本社での実証実験などを経て、22年10月にVRの製作やVR避難ツールの提供を開始した〔図1〕。

〔図1〕刻一刻と変化する火災の状況を再現
〔図1〕刻一刻と変化する火災の状況を再現
バーチャル避難訓練の画面例。建物火災が発生した場合を想定したもの。参加者は画面上に表示された矢印を選択して、炎や煙を避けながら避難口まで逃げる。時間経過とともに、煙の色は黒に変化する(資料:ジオクリエイツ)
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 VR避難ツールは、既存建物の内部を撮影して製作したVR空間内で避難訓練を実施できるものだ。参加者はパソコンやスマートフォンからアクセスできる。VRゴーグルなど専用機器は必要ない。約100人が同時に参加できる。

 VR空間上には同時に参加している人のアバターが表示される。参加者は自分のアバターをマウスなどで操作して炎をよけながら避難口を目指す。夜間に火災や地震が発生した場合など、現実の訓練では難しいシチュエーションも設定できる。内見用などに建物内のVRを既に製作している場合は、それにVR避難ツールを連携させることも可能だ。

 日建設計品質管理部門設計品質管理部の染谷朝幸ダイレクターは、「職場そのものを再現しているため、参加者の記憶に残りやすい。訓練そのものが難しい病院や商業施設でも実施できる」と説明する。