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木造建築に関する国の基準づくりに関わり、実務者として数多くの木造建築の設計を手掛ける桜設計集団の安井昇代表。安井代表が「この設計は秀逸だ」と認める建物を例に、防耐火設計の勘所を解説する。(日経アーキテクチュア)

 連載第1回で取り上げるのは「流山市立おおぐろの森小学校」(千葉県流山市)だ。延べ面積1万m2を超える学校で、ほとんどの教室や廊下を木の現しで仕上げている。

 2015年6月施行の改正建築基準法によって木造3階建ての学校は、従来の「耐火建築物」に加え、「1時間準耐火構造+開口部からの上階延焼措置など」による耐火同等の規定ができた。その結果、柱や梁などの構造躯体を木の現しとした燃えしろ設計が可能になった。

 22年10月時点で筆者が把握している範囲で、1時間準耐火建築物による木造3階建ての学校は、竣工または計画中を含めて12件ある。その中で、流山市立おおぐろの森小学校は、延べ面積が1万m2を超える大規模な木造建築だ。

流山市立おおぐろの森小学校(2021年)
  • 所在地=千葉県流山市大字大畔316-1
  • 地域・地区=指定なし、法22条区域
  • 発注者=流山市
  • 設計・監理者=日本設計
  • 施工者=松井建設
  • 構造=木造、一部鉄筋コンクリート造・鉄骨造
  • 階数=地下1階・地上3階
  • 延べ面積=1万2423.75m2
流山市立おおぐろの森小学校の内観。教室や廊下は、柱や梁、床などにLVL(単板積層材)を用い、現し仕上げとしている。2021年4月に開校。開校時は14クラス、22年度は18クラスに増えている(写真:安川 千秋)
流山市立おおぐろの森小学校の内観。教室や廊下は、柱や梁、床などにLVL(単板積層材)を用い、現し仕上げとしている。2021年4月に開校。開校時は14クラス、22年度は18クラスに増えている(写真:安川 千秋)
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