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世界的な木材不足で、価格が急騰した2021年のウッドショック。1年半がたち、需給バランスが落ち着いてきた。「木材が手に入らない」という悲鳴はもう聞こえない。にもかかわらず、価格はなかなか下がらない。

北大路 康信(きたおおじ やすのぶ)
北大路 康信(きたおおじ やすのぶ)
ポラテック専務取締役(写真:日経アーキテクチュア)

 「ウクライナ危機の影響は、全くなかったと言っていい」。プレカット業界最大手ポラテック(埼玉県越谷市)の北大路康信専務取締役は意外な言葉を口にした。

 遡ること9カ月。ウッドショックの急襲から約1年がたち、枯渇していた輸入木材の在庫がようやく正常化してきた22年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻が勃発した。西側諸国による経済制裁への対抗措置として、ロシアは突如、日本を含む「非友好国」に対して単板などの輸出を禁止。住宅業界に衝撃が走った。

 森林大国のロシアが輸出規制に踏み切るとあって、国内では木材の需給逼迫に対する懸念が再び強まった。木材各社は対応に追われた。

 ポラテックでも製材の在庫量を約6%増やした。しかし蓋を開けてみれば、製材への影響はなかった。日本木材総合情報センターのデータもこれを裏付ける。2月は4.6万m3だった北洋材の在庫量が8月には6.8万m3に増えた。北洋材以外の製材も在庫量が増えており、逼迫どころかだぶついている状態だ。

 木材不足の「ウッドショック」は過去の話。それでも製材価格は高水準のままだ。農林水産省によると、9月のスギ乾燥材価格は1m3当たり11.98万円。21年6月以降、11万円を下回っていない。一時に比べ下落したとはいえ、ウッドショック以前の2倍弱という高値に変わりはない〔図1〕。

〔図1〕ウッドショック以降も木材価格は高止まり
〔図1〕ウッドショック以降も木材価格は高止まり
米国発のウッドショックで2021年春ごろから輸入材、国産材ともに価格が急上昇。2倍近い水準に達した後、高止まりしている(資料:農林水産省の木材価格統計調査を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 北大路専務は次のように謎解きしてみせる。「今は半年ほど前に値決めした高価な木材を加工して出荷している。住宅需要も悪くはないため、大幅な値下げにはならない」