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広大な公園に現れた「ジブリパーク」。11月の開園に先立ち、愛知県は約1000人の関係者を10月に招待した。ジブリの世界観に子どもも大人も夢中になり、スマホ片手にあちこちで“撮影会”が繰り広げられていた。
「となりのトトロ」「天空の城ラピュタ」「耳をすませば」──。スクリーンやテレビで見ていた、世界的なアニメ制作会社「スタジオジブリ」が描く世界観やキャラクターなどが立体的に再現されている。見て、触れて、体験できる施設「ジブリパーク」が11月1日に開園した〔写真1〕。
〔写真1〕メイン施設の屋内に広がる「ジブリワールド」
ジブリパークのメインエリア「ジブリの大倉庫」。中央階段を見上げると、映画「天空の城ラピュタ」のオープニングに登場する「空飛ぶ巨大な船」がある。船の全長は約7mだ(写真:生田 将人)
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開園したエリアを歩くと、建物や展示の細部までこだわっていることに感嘆した。スタジオジブリ作品に登場するアンティークショップ「地球屋」や巨大なロボット兵、「湯婆婆(ゆばーば)」の執務室「にせの館長室」などを忠実に再現し、ジブリファンに“刺さる”空間に仕上げている〔写真2~6〕。
〔写真2〕山頂に「トトロ」形の遊具
映画「となりのトトロ」に登場する「サツキとメイの家」は愛知万博で人気のあったパビリオンの1つ。その裏山を登ると、トトロの形を模した高さ約5m木製遊具が見えてくる(写真:日経アーキテクチュア)
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〔写真3〕あの名曲を口ずさみたくなる空間
映画「耳をすませば」に登場するアンティークショップ「地球屋」。木造、一部鉄筋コンクリート造の3階建てで、1階には映画の登場人物「天沢聖司」がバイオリン制作を学んでいた工房などがある(写真:生田 将人)
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〔写真4〕小人になったような感覚に
「ジブリの大倉庫」に整備した「床下の家と小人の庭」。高さ2m近くの花や植物の造形などを設置して、映画「借りぐらしのアリエッティ」の世界観を再現した(写真:生田 将人)
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〔写真5〕細部にまでこだわってジブリの世界へ没入
ジブリパークに整備したセットなどは細部までこだわって制作している。メインエリアの「ジブリの大倉庫」から「どんどこ森」につながる花園の入り口には、映画「千と千尋の神隠し」に登場する石人(せきじん)のオブジェを設置した稲楼(とうろう)門も整備した
(写真:日経アーキテクチュア)
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(写真:日経アーキテクチュア)
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(写真:日経アーキテクチュア)
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〔写真6〕公園整備として異例の巨額投資
ジブリパークの開園に向けて愛知県は、約36億円をかけて北エントランス広場を整備。さらに、公園内にあった既存の旧エレベーター棟の外観も改装した(写真:生田 将人)
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ジブリパークの入場料は、ジブリの大倉庫が2000円、どんどこ森が1000円など。いずれも平日の大人料金(写真:生田 将人)
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場所は、2005年の愛知万博(愛・地球博)の長久手会場跡地に開園した愛・地球博記念公園内だ。愛知県は約190ヘクタールにわたる広大な公園の一部のエリアや既存建物をジブリパークとして生まれ変わらせた。
今回開園したのは、県が整備を進める5エリアのうち、「ジブリの大倉庫」「青春の丘」「どんどこ森」の3エリア、計約3.4ヘクタール。残りの「もののけの里」(約0.8ヘクタール)は23年秋、「魔女の谷」(約2.9ヘクタール)は24年3月に開業予定だ。