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発注者が自社の建物に採用する建材に着目し始めた。気候変動リスクへの対応などSDGs達成に向けた取り組みを、消費者や株主にアピールする狙いがある。今後、建材メーカーに対応を求める動きが加速しそうだ。

 イオンモール(千葉市)は、2022年10月に開業した「イオンモール土岐」(岐阜県土岐市)で、ウッドデッキ材や壁の内装材などにリサイクル建材を多数採用。このことを来客者にピーアールしている〔写真1〕。7月に増床工事を開始した「イオンモール太田」(群馬県太田市)では、撤去した既存の舗装材を粉砕して新たな舗装材として再利用した〔写真2〕。

イオンモール
〔写真1〕リサイクル材の使用をピーアール
〔写真1〕リサイクル材の使用をピーアール
イオンモール土岐ではリサイクル材を多用している。そのことを説明する掲示板(写真:イオンモール)
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再生材比率約60%の内装ボード(ケイミューのSOLIDO typeF coffee)で仕上げたインテリア(写真:イオンモール)
再生材比率約60%の内装ボード(ケイミューのSOLIDO typeF coffee)で仕上げたインテリア(写真:イオンモール)
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廃プラスチックと廃木材を原料とする再生複合材(エコウッドのエコMウッド)をデッキ材などに使った屋外空間(写真:イオンモール)
廃プラスチックと廃木材を原料とする再生複合材(エコウッドのエコMウッド)をデッキ材などに使った屋外空間(写真:イオンモール)
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〔写真2〕改修工事で出た廃材を再利用
〔写真2〕改修工事で出た廃材を再利用
イオンモール太田の舗装改修工事の様子。撤去した既存舗装材のアスファルトコンクリート塊とセメントコンクリート塊を粉砕して、新たな仕上げ材と路盤材に使用している(写真:イオンモール)
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 これらの事例は、イオンモールが6月に発表した、「建設分野のSDGs実現に向けた資源循環システムの構築」を実践するものだ〔図1〕。建物の新築からリニューアル、解体に至る過程での建築資材の廃棄をなくし、バージン建材を使わないことを最終目標とする。そのためイオンモールは、メーカーに製品のリサイクル対応を強化するよう求めている。「40年までの実現を仮定して、何を変えればいいか。製造過程まで踏み込んで、建材メーカーや建設会社などにヒアリングしている」と、同社地域サステナビリティ推進室の渡邊博史室長は話す。竹中工務店と専門工事会社1社がこうした作業に協力している。

〔図1〕リユース、リサイクル建材のみで構成
〔図1〕リユース、リサイクル建材のみで構成
イオンモールが取り組む、建設における資源循環システム構築の概念図。リユース、リサイクル建材のみで構成することを目指す(資料:イオンモール)
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