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発注者や建材メーカーのSDGsへの対応が活発になる中、建築設計者はどう取り組めばいいのか。建材選びは最初の1歩。SDGsで価値を生みだしている先行事例から、設計者の今後の役割についてヒントを探る。

 未使用新品のまま廃棄される予定だった内装建材をアウトレット価格で販売している会社がある。若手設計者が2021年4月に起業したスタートアップ、HUB&STOCK(東京都板橋区)だ。同社は建築資材ロス問題の解決を目指す〔写真1〕。

〔写真1〕若手設計者が「建材ロス」を減らすスタートアップを起業
〔写真1〕若手設計者が「建材ロス」を減らすスタートアップを起業
建材のアウトレット販売などを手掛ける「HUB&STOCK」の宮垣知武氏(左)と豊田訓平代表取締役社長(右)。両者とも設計実績が豊富なため、ユーザーである設計者や施工者が相談しやすい(写真:日経アーキテクチュア)
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工務店から回収した建材。工務店1件が40件ほどの原状回復工事をして出た余剰建材だ(写真:HUB&STOCK)
工務店から回収した建材。工務店1件が40件ほどの原状回復工事をして出た余剰建材だ(写真:HUB&STOCK)
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 創業者の豊田訓平代表取締役社長は、建設会社や設計事務所で意匠や構造の設計など、8年ほど建築の実務経験を積んだ。その間、建設現場で多めに発注して余った新品の建材が廃棄されることに違和感を抱えていた。

 「余剰資材を活用する方法が無いから廃棄される。その受け皿になる会社があればいい」と、豊田社長は起業を決意した。

 HUB&STOCKは「建材レスキューサービス」で工務店などから余剰建材を買い取る。さらに、一部の建材メーカーと提携して、倉庫に眠る在庫をアウトレット品として販売している。このほか、設計者などから相談を受け、デザインに配慮した内装建材の仕様提案もしている。