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新・長崎駅は長崎市で「100年に1度」といわれる大規模開発の核となる。象徴的な存在とすべく、長さ約260mのうねる膜屋根を架けた。夜、その屋根が照明で照らされ、長崎市の夜景に花を添える。

 長崎港に向かって南北に延びる真っ白な膜屋根は、風を受けた帆のようにうねった形をしている。港町らしい、そのたたずまいも夜になると一変する。照明が屋根を下から照らし、世界新三大夜景都市と名高い長崎市の夜景を彩るのだ。夕闇にぼうっと浮かび上がる姿は、中国ちょうちんを飾る冬の風物詩「長崎ランタンフェスティバル」を彷彿(ほうふつ)とさせる〔写真1〕。

〔写真1〕世界新三大夜景都市の1つ長崎市を彩る新・長崎駅
〔写真1〕世界新三大夜景都市の1つ長崎市を彩る新・長崎駅
うねりが特徴的な膜屋根は長崎港(写真左)に向かって高くなるようにし、海への軸線を強調している。写真奥に見えるのは夜景の名所として知られる稲佐山(写真:JRTT鉄道・運輸機構)
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 新駅のプロジェクトが始動したのは8年半前。「長崎駅舎・駅前広場等デザイン基本計画」のプロポーザルで、東京大学の篠原修名誉教授や県・市の職員らで構成された審査委員会は設計領域(東京都港区)を選定した。その後、20年3月に長崎駅舎(在来線)の高架化が完了、22年9月には西九州新幹線とともに長崎駅舎(新幹線)が開業し、全面オープンを迎えたという経緯だ〔写真2〕。

〔写真2〕プラットホームの向こうに長崎港が広がる
〔写真2〕プラットホームの向こうに長崎港が広がる
長崎港に近い立地と、線路の行き止まりにある頭端駅という特徴を生かして、プラットホームの南端から海を眺められるようにした。開業日に長崎駅一日駅長を務めたタレントの長濱ねるさん一押しの眺めだ(写真:JRTT鉄道・運輸機構)
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 新駅の建物は鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造で、地上2階建て。設計領域が新駅舎の基本デザインとデザイン監修を手掛けた。長崎駅舎(新幹線)の設計を担当したのは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)と安井建築設計事務所(大阪市)だ。安井建築設計事務所は長崎駅舎(在来線)のほか、22年3月に高架下で開業した商業施設の設計も手掛けている。