持続可能性を旗印に、スタジアムの後利用や建設時の環境配慮に注力してきたカタール。ドーハ南部に完成した「Stadium 974」には主に輸送用のコンテナを使用。サッカーW杯史上初の仮設スタジアムが誕生した。
ドーハ南部の湾岸エリア、ラス・アブー・アブードに、貨物船に積まれてきた輸送用コンテナが次々と集まった。赤や黄、青、黒と色とりどりに塗装されたコンテナは、クレーンなどで鋼製の巨大フレームの中に次々と差し込まれていった──。
こうして完成したのが、サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会で使用されるスタジアム「Stadium(スタジアム) 974」だ〔写真1〕。スタジアムは鉄骨造の地上7階建てで、延べ面積は約12万m2。収容人数は最大約4万人だ。建設に使用したコンテナの数は974個に上り、スタジアム名の由来にもなっている。
スタジアム974はW杯閉幕後に解体されることが決まっている、W杯史上初の仮設スタジアムだ。外観デザインは海運都市ドーハの歴史や港の風景を反映している。
設計を手掛けたのはスペインのマドリードを拠点とするFenwick Iribarren Architects(フェンウィック・イリバレン・アーキテクツ)。構造設計は、ドイツのSchlaich Bergermann Partner(シュライヒ・ベルガーマン・パートナー)と共同で手掛けた。