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サッカー場ではなく、「スタジアムシティ」。長崎県に本社を置く通販大手、ジャパネットHDが主導する複合スタジアムが長崎市で建設中だ。スポーツエンターテインメントを演出する新施設が、長崎を新たなワクワク感で包む。

 「期待してください。一緒に夢を見てください。長崎だけじゃなく日本中どこにもない、今までにない景色をつくるつもりです」。通販大手のジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市)の高田旭人社長兼CEO(最高経営責任者)は2022年6月、長崎スタジアムシティプロジェクトの起工式後に開いた会見で、そう熱く語った。

 約7.5ヘクタールの建設地はJR長崎駅から徒歩で10分ほどの距離にある。この場所は、三菱重工業の長崎造船所幸町工場跡地。17年4月に始まった土地活用事業者の公募に、ジャパネットホールディングス(HD)が手を挙げた。

地元と連携して長崎を活性化

 同社は17年4月に、サッカーJリーグの地元クラブ「V・ファーレン長崎」をグループ会社化したところだった。18年4月にスタジアム建設の構想を発表し、19年6月にはスポーツ・地域創生事業を、通販に並ぶ会社の2つ目の柱に掲げた。これが高田社長兼CEOの狙いだ。

 長崎スタジアムシティプロジェクトは、約2万席のサッカースタジアムを中心に、約6000席のアリーナと約250室のホテル、オフィス、商業施設などが複合した施設だ〔図12〕。延べ面積約19万4000m2の地上14階建てで、22年7月に着工した。24年9月の竣工予定で、同年内の開業を目指している〔写真1〕。ジャパネットHDとしては約800億円の投資となる。

〔図1〕スタジアムのピッチから観戦席を見上げたイメージ
〔図1〕スタジアムのピッチから観戦席を見上げたイメージ
観戦席からピッチまで最短約5mという日本一ピッチが近いスタジアム。選手が間近に見える環境をつくることで、観客の臨場感や感動を高める。記載情報やパース資料はいずれも予定で、変更の可能性がある(資料:ジャパネットホールディングス)
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〔図2〕民間主導で長崎に新たなにぎわいを生む
〔図2〕民間主導で長崎に新たなにぎわいを生む
「長崎スタジアムシティプロジェクト」の完成イメージ。浦上川のほとりで建設中の、延べ面積約19万4000m2、地上14階建ての巨大複合施設だ(資料:ジャパネットホールディングス)
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〔写真1〕建設が進む長崎スタジアムシティプロジェクト
〔写真1〕建設が進む長崎スタジアムシティプロジェクト
クレーン車など多くの重機が稼働し、基礎などの躯体工事が進んでいる。建物の工事に並行して、ホテルに入る温浴施設のための温泉掘削工事も行っていた。2022年11月撮影(写真:左はジャパネットホールディングス、右は日経アーキテクチュア)
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 オフィスは地元企業を中心に誘致を進め、22年7月にはテナント第1号として長崎大学大学院と入居について基本合意した。