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長崎スタジアムシティプロジェクト、広島サッカースタジアムの設計に携わるのが、MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島を成功に導いた名手、建築家の仙田満氏だ。2施設でも自ら提唱する「遊環構造」を用いたと語る。

仙田 満(せんだ みつる)
仙田 満(せんだ みつる)
1964年、東京工業大学建築学科卒業、菊竹清訓建築設計事務所入所。68年、環境デザイン研究所を設立。2005年から東京工業大学名誉教授。日本建築学会会長、日本建築家協会会長など歴任。11年、マツダスタジアムで日本建築家協会賞受賞(写真:日経アーキテクチュア)

長崎スタジアムシティプロジェクトの設計の狙いを聞かせてください。

 何よりも「試合がない日もにぎわう場所にする」ということです。スタジアムで開かれるサッカーの公式試合は年間20日程度。併設アリーナでのBリーグの公式試合もやはり年間30日程度です。アリーナでは各種イベントも行われますが、そうした日以外でも、日常的なにぎわいを生み出したいと考えました。

 海外に目を転じると、スタジアムにホテルやショッピングセンターが隣接した施設はいくつもある。ただし、くっついているだけで、区画としては別々の場合が多いんです。スタジアム空間を取り込んで一体の街として形成された例はほとんどない。これはぜひ成功させたいですね。

どのような手法を盛り込んだのでしょうか。

 併設のオフィスやホテルにより「定常人口」を底上げしました。さらに、開放的な回遊性を持ったスタジアムへ、街なかから日常的にアクセスできるように計画しました。