長崎スタジアムシティプロジェクト、広島サッカースタジアムの設計に携わるのが、MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島を成功に導いた名手、建築家の仙田満氏だ。2施設でも自ら提唱する「遊環構造」を用いたと語る。

長崎スタジアムシティプロジェクトの設計の狙いを聞かせてください。
何よりも「試合がない日もにぎわう場所にする」ということです。スタジアムで開かれるサッカーの公式試合は年間20日程度。併設アリーナでのBリーグの公式試合もやはり年間30日程度です。アリーナでは各種イベントも行われますが、そうした日以外でも、日常的なにぎわいを生み出したいと考えました。
海外に目を転じると、スタジアムにホテルやショッピングセンターが隣接した施設はいくつもある。ただし、くっついているだけで、区画としては別々の場合が多いんです。スタジアム空間を取り込んで一体の街として形成された例はほとんどない。これはぜひ成功させたいですね。
どのような手法を盛り込んだのでしょうか。
併設のオフィスやホテルにより「定常人口」を底上げしました。さらに、開放的な回遊性を持ったスタジアムへ、街なかから日常的にアクセスできるように計画しました。