全1768文字
PR

世界水準のプロバスケットボールリーグを目指して、構造改革を進めている「B.LEAGUE(Bリーグ)」。メジャースポーツ化に向けて島田慎二チェアマンは、「アリーナ整備こそが一丁目一番地だ」と意気込む。

島田 慎二(しまだ しんじ)
島田 慎二(しまだ しんじ)
1970年生まれ。日本大学卒業後、マップインターナショナル(現、エイチ・アイ・エス)入社。2012年にジェッツインターナショナル代表取締役に就任。日本トップリーグ連携機構理事などを歴任し、20年より現職(写真:B.LEAGUE)

Bリーグは「夢のアリーナ建設」をリーグ経営の最優先事項に掲げています。どのような施設ですか?

 現在、Bリーグのクラブが使用している会場の多くは、いわゆる「市民体育館」です。競技施設で、地域の高校生などの試合を同時に何試合も開催できるように広さが確保されています。しかし、1つの試合を集中して「観る」環境ではないですよね。

 私たちが目指している「夢のアリーナ」は、見切れ席がなく、トイレの数やコンコースの広さといったファシリティーを兼ね備えた施設です。2021年に完成した「沖縄アリーナ」(沖縄県沖縄市)は、まさに私たちが目指すアリーナの姿。観客席がすり鉢状に配置され、見切れ席がなく、会場にメガビジョンがあるなど、誰もが楽しめる空間になっています〔写真1〕。

〔写真1〕「Bリーグが目指す夢のアリーナの姿だ」
〔写真1〕「Bリーグが目指す夢のアリーナの姿だ」
2021年に完成した沖縄アリーナ。設計は梓設計・創建設計・アトリエ海風JVが手掛けた(写真:梓設計)
[画像のクリックで拡大表示]
23年には国際バスケットボール連盟(FIBA)ワールドカップ2023の試合会場として使用される(写真:日経アーキテクチュア)
23年には国際バスケットボール連盟(FIBA)ワールドカップ2023の試合会場として使用される(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

沖縄アリーナはエンターテインメント性も追求しています。

 エンタメ性は欠かせません。クラブの多くが現在使用している体育館は、夏は暑く、冬は寒い。コンコースは狭いし、トイレも古い。女性トイレは試合のハーフタイム時に行列ができています。

 熱心なバスケファンからすると、どんな環境でも試合が見られればいいのかもしれません。しかし、バスケットボールをメジャー化するためには、「バスケファン以外の人をいかに巻き込むか」が重要です。そのために施設自体の魅力や、迫力の演出といったエンタメ性が必要なのです。

26年のリーグ改革に向けて、トップリーグ「新B1(仮)」への入会基準を設けています。基準には「アリーナの整備」があり、全国でアリーナ建設が進んでいます。

 対外発表しているのはアルバルク東京や千葉ジェッツなど9クラブです。しかし、未発表のクラブや、体育館を改修する方針で動いているクラブがまだまだあります。26年の新リーグ開幕時には15程度のアリーナが誕生している状態になると思います。

新設ではなく、体育館の改修も認めているのですね。

 はい。新設に踏み切れないクラブや地元自治体は少なくありませんから、「観客席5000席以上」といった新B1基準を満たせる、新設に準じた改修計画なら、クラブの拠点として承認します。改修の場合は28-29年シーズン開幕当初から使用できることといった基準を示しています。

 アリーナが新設できないなら新B1リーグに加盟できない。そんな地方排除があっては、「バスケで日本を元気にする」という我々の大目標に反してしまいます。