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スタジアム・アリーナ設計で特に存在感を示しているのが、この分野のフロントランナーである梓設計(東京都大田区)だ。スポーツビジネスのプレーヤーとの協業深化を進める同社は、今後の市場をどうみているのか。

(写真:池谷 和浩)
(写真:池谷 和浩)
  • 左:有吉 匡(ありよし きょう)
  • 梓設計社長
  • 1987年、早稲田大学理工学部建築学科卒業、89年、同大学大学院理工学研究科建築学専攻修士課程修了、梓設計入社。同社常務取締役執行役員を経て、2022年8月から現職
  • 右:永廣 正邦(ながひろ まさくに)
  • 梓設計プリンシパルアーキテクト
  • 1984年法政大学工学部建築学科卒業、89年、梓設計入社。現在、専務執行役員、スポーツ・エンターテインメント・ドメイン長。横浜Kアリーナをはじめ、数々のスタジアム・アリーナ設計を手掛ける

 「当社はよく『空港の梓』と呼ばれるが、今や『スポーツ施設の梓』との二枚看板。知見は相当のレベルで蓄積されたと思っている」。近年、組織設計事務所の中でも急カーブで成長を果たしてきた梓設計。有吉匡社長は、取材にそう切り出した。

 2021年度の建築設計・監理業務売上高は約124億円。この10年で約1.8倍に拡大した。背景にあったのが、スポーツ施設にも関連する垣根を越えた協業の成功だ。

 同社はスカパーJSATなどとの共同出資によるスポーツエンターテインメント会社ソル・レヴァンテ・スポーツ(東京都港区)の設立、チケット販売大手のぴあ(東京都渋谷区)との連携など、次々と手を打ってきた〔図1〕。

〔図1〕着々とスポーツビジネスの協業を進めてきた
〔図1〕着々とスポーツビジネスの協業を進めてきた
梓設計は近年、世界的に協業・連携のパートナーシップ構築を進めてきた。永廣氏率いるスポーツ・エンターテインメント・ドメインでは、「オープン・イノベーション」を合言葉として、異分野協業により次世代スポーツ施設の在り方を模索している(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 ソル・レヴァンテ・スポーツでは、すでに複数のプロスポーツチームとコンサルティング契約が成立したという。