ウクライナ危機、資材高騰、円安──。2022年の動乱を一体誰が予測できただろうか。未来を見通すのはあまりにも難しく、不確実性に満ちている。だがその中でも、着実にこの1年で技術を開発し、新しい事業を創出し、社会にインパクトを与える建築を生み出した人々がいる。日経アーキテクチュア編集部はそうしたパワフルさを持つフロントランナーたちを選出した。10大建築人の「今」に迫り、「未来」を聞く。

編集部が選ぶ10大建築人2023
不確実な時代をパワフルに生き抜く
目次
-
各地を駆ける建築家の先に見えてきた世界基準の流儀
Part1 動乱の1年を激走(1)
2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻。世界が震撼(しんかん)するなか、真っ先に行動を起こしたのが坂茂氏だ。縦横無尽に世界を駆けながら、淡々と大業を果たす坂氏に迫る。
-
お笑いに進んだ元建築学生、異色の経歴から見える景色
Part1 動乱の1年を激走(2)
ブレイクから約20年。お笑いコンビ・アンガールズの田中卓志さんが、ベテランの域に差し掛かるにつれ、建築関連の仕事に手を広げている。多様な働き方が求められる今こそ、異色の"建築人"に注目したい。
-
未踏の純木造11階建て、挑戦者が明かす舞台裏
Part2 トレンドを先導(1)
2022年も建築界に衝撃を与えるプロジェクトが次々と誕生した。その筆頭格といえるのが、横浜市に誕生した「Port Plus(ポートプラス)」だ。大林組が国内最高の高さを誇る純木造ビルを実現した。
-
“面白そう”で建設業界へ、建設3Dプリンターの先達
Part2 トレンドを先導(2)
日本における建設3Dプリンターのトップを走るPolyuse(ポリウス)。2019年6月に創業したばかりのスタートアップ企業だ。海外製よりもはるかに安い製品をつくろうと、奮闘している。
-
コンクリートも環境対応、JASS5改定に見えた愛
Part2 トレンドを先導(3)
2022年11月、日本建築学会のJASS5が13年ぶりに大改定された。改定小委員会の主査を務めたのは、東京大学大学院の野口貴文教授。およそ35年間、コンクリートの世界に身を投じてきた。
-
「アーバンサイエンス」で街づくりに変革起こす
Part2 トレンドを先導(4)
都市の在り方を大きく変える可能性を秘めている「スマートシティー」。ビッグデータを用いてサイエンスの観点から分析し、街づくりや都市計画、空間デザインへの活用を目指す。
-
木の調達の制約逆手に部材固有の構造美を生む
Part2 トレンドを先導(5)
既存樹木の大イチョウを使った「上野東照宮静心所」や需要が少ない大径木を使った「山仁コーポレーション社屋」。山田憲明氏にとって、木の調達は制約でなく可能性だ。
-
Z世代を巻き込む地方と都市の新たな関係
Part2 トレンドを先導(6)
長年率いたベンチャー企業を離れ、地域課題に取り組む新会社を設立。地域の声に耳を傾け、都市との関係を読み解きながら、継承される魅力的な地域をデザインしていきたいという。
-
インクルーシブの概念を建築で社会に発信する
Part2 トレンドを先導(7)
2022年に大きな話題を呼んだ「インクルーシブ」という言葉。これを旗印に掲げた施設が山形に出来上がったことで、インクルーシブの考え方が広く伝わり始めている。
-
建築コンサルと社会活動家、両輪で快進撃を続ける20代
Part2 トレンドを先導(8)
日建設計の新領域ラボグループに勤める建築コンサルタントと、LGBTQを社会に理解してもらおうと活動するトランスジェンダーの当事者。若手ながら頭角を現す、建築人のホープにも注目したい。
-
遠藤克彦氏や宮本洋一氏ら、2022年に活躍した建築人をおさらい
「10大建築人」には入らなかったものの、編集部員が推薦した建築人は50組を超えた。そのうち編集部投票で多数の票を獲得した建築人を一挙に紹介する。中でも、遠藤克彦氏や宮本洋一氏は、その活動や発言に注目が集まった。