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 特殊なモルタルをノズルから吐出して積層し、構造物を造形する建設3Dプリンター。その話題性は、建築界にとどまらず一般の人々をも魅了している。高島屋は2023年1月の初売りの目玉に、スタートアップ企業のセレンディクス(兵庫県西宮市)が3Dプリンターで造形した延べ面積約10m2の小屋「Sphere(スフィア)」の福袋を据えた。価格は税込み330万円だ。セレンディクスは23年春にも、建設3Dプリンターで「印刷」した住宅の販売を予定している。

 建設3Dプリンターを扱うプレーヤーはセレンディクスのようなスタートアップからコンクリートメーカー、大手建設会社まで様々だ。プリンターを実戦に用いるべく、試行錯誤しながら技術力を高めている。

 なかでも活発な動きを見せるのが大手ゼネコンだ。これまでは屋内での造形が中心だったが、プリンターを建設現場に持ち込む「オンサイトプリンティング」に取り組み始めている。

 大林組は延べ面積27.09m2、最高高さ4.04mの「3Dプリンター実証棟」を、同社技術研究所の敷地内で印刷している。産業用ロボットアームをベースに自社開発したプリンターを現場に据え付けて、壁の部分を印刷中だ。23年2月ごろの完成を目指している〔写真1〕。

〔写真1〕階段も一体的に印刷する
〔写真1〕階段も一体的に印刷する
大林組が印刷中の「3Dプリンター実証棟」。2022年11月時点で進捗は50%程度。屋根には屋内で別途印刷した床版を据え付ける。階段も印刷し、完成後は屋上に上がれるようにする。技術的には複数階の造形が可能だ。右下は完成イメージ(写真・資料:大林組)
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