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 2025年の大阪・関西万博で大阪府・市などが出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」(以下、大阪パビリオン)の施工者が、すったもんだの末に竹中工務店に確定した。発注者の一般社団法人2025年日本国際博覧会大阪パビリオン(以下、社団法人)は22年11月25日、同社と98億8900万円(税込み)で契約を結んだと明らかにした。

 22年5月公表の公募型プロポーザル実施要項では、事業費の参考額を約74億円としていた。ところが、唯一の参加者である竹中工務店が約195億円を提示。「想定外だった」(社団法人)という金額に関係者は騒然となり、大阪府の吉村洋文知事は22年10月11日の会見で「物価高騰と屋根の見積もりに甘い部分があった」などと反省の弁を述べた。

 では、どのようにして約195億円を約99億円に圧縮したのか。

 吉村知事も見積もりの甘さを認めた本館棟の屋根に関するコストダウン額が最も大きい。竹中工務店の協力の下で実施設計の精査を進め、トラス屋根の範囲を大幅に縮小し、材料も変更。溶接からボルト締めに合理化するなどして、約74億円から約24億円まで50億円も減らした〔図1〕。

〔図1〕100億円近いコストダウンを経て竹中工務店と契約
〔図1〕100億円近いコストダウンを経て竹中工務店と契約
主なコストダウン内容を示した。大阪パビリオンの正式名称は「大阪ヘルスケアパビリオン Nest for Reborn」。東畑建築事務所が基本設計を手掛けた(資料:2025年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会)
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 このほかにも本館棟の基礎構造の変更などで躯体費を削るなどしてコストダウンを徹底。なんとか100億円以内に収めたものの、基本設計のイメージとはかなり印象の異なるデザインとなった面は否めない。