2030年ごろの未来社会の先行実現を目指す「スーパーシティ」構想。政府は新設したスーパーシティ型国家戦略特別区域に、大阪市を指定した。フィールドとなるのが、大阪・関西万博の舞台になる夢洲(ゆめしま)と、うめきた2期だ。
2022年12月27日、大阪府・市は「大阪スーパーシティ全体計画」を発表した〔図1〕。両自治体は民間事業者などと連携して“未来都市”づくりを目指す。夢洲とうめきた2期の両エリアについて、どちらも新たな都市をつくり、新たな住民を集める「グリーンフィールド」と位置付けている。
スーパーシティの実現に向け、先端的サービスを展開するプロジェクトの1つが、「夢洲コンストラクション」だ。25年に開催を予定する大阪・関西万博に向けた建設工事や周辺のインフラ整備を安全かつ円滑に進めるため、位置情報やAI(人工知能)カメラによる車両管理、ドローンを活用した測量や資材運搬などを行う。
2つ目が「大阪・関西万博」。テーマに「いのち輝く未来社会のデザイン」、コンセプトに「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」を掲げる。会場は各出展者によるSDGs(持続可能な開発目標)達成へ向けた取り組みや、新技術の実証などを行う場という位置付けだ。
2025年日本国際博覧会協会整備局整備調整部整備調整課の長山功課長は「未来の都市や住宅など、新しい技術の体験や展示ができるエリアを設ける計画だ」と話す。同協会が進めている、先端的サービスの体験を来場者に提供する「未来社会ショーケース事業」の一環だ。空飛ぶクルマを運航させる他、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)などを活用してリアルの会場と、オンライン空間に再現した会場を連動させる取り組みなども実施する。
22年12月中旬時点で、主要施設の工事入札に不落や不調が相次ぎ、不穏な空気は拭えない。だが、公表されている企業パビリオンの他、公募型プロポーザルで若手設計者が多数起用された休憩場やトイレ、ポップアップステージなどでは持続可能性を見据えた計画が光る。
SDGsに配慮した建築が集結
パナソニックグループ「ノモの国」
❶大阪市此花区夢洲 ❷パナソニックホールディングス ❸永山祐子建築設計、大林組 ❹─ ❺24年7月 ❻25年4月 ❼S造 ❽地上2階 ❾約2388m2
休憩所2
❶大阪市此花区夢洲 ❷2025年日本国際博覧会協会 ❸工藤浩平建築設計事務所 ❹─ ❺25年3月 ❻25年4月 ❼S造・木造 ❽地上1階(一部2階) ❾約483m2
TOILET
❶大阪市此花区夢洲 ❷2025年日本国際博覧会協会 ❸KUMA&ELSA / 隈翔平+エルサ・エスコベド ❹ ❺─ ❻25年4月 ❼─ ❽地上1階 ❾─
大催事場
❶大阪市此花区夢洲 ❷2025年日本国際博覧会協会 ❸伊東豊雄建築設計事務所(基本設計) ❹ ❺─ ❻25年4月 ❼S造、一部RC造 ❽地上2階 ❾約8400m2
サテライトスタジオ(東)
❶大阪市此花区夢洲 ❷2025年日本国際博覧会協会 ❸ナノメートルアーキテクチャー ❹─ ❺24年12月 ❻25年4月 ❼木造 ❽地上1階 ❾150m2
ポップアップステージ(北)
❶大阪市此花区夢洲 ❷2025年日本国際博覧会協会 ❸axonometric ❹─ ❺ ❻25年4月 ❼木造 ❽地上1階 ❾約90m2
万博やIRの玄関口となる新駅
❶所在地 ❷発注者、事業者 ❸設計者 ❹施工者 ❺竣工時期 ❻オープン時期 ❼主構造 ❽階数 ❾延べ面積