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大規模公園内で一帯のシンボルとなっていた施設を、民間投資で再生する。飼育動物などの生活の質の向上や生態系との調和に関心が高まるなか、水族園や動物園にも新たなコンセプトの公民連携事業が現れている。

 神戸市西部の須磨海浜公園では、1957年開園の市立水族園の建て替えが進む。事業区域は約10.1万m2。神戸市初のPark-PFI(公募設置管理制度)事業で、サンケイビルを代表企業に7社から成る事業体が、ホテル、駐車場、にぎわい施設による公園再整備と併せて実施する。

 東西850m、南北80~120mの敷地には、クロマツが群生。市内有数の景勝地で、海水浴場としても親しまれている。街と公園の間を塞ぐ格好だった旧建物の配置を分棟型に改め、連絡デッキの下を縫って公園来訪者が回遊できるようにする。さらに、立地を生かし、箱として閉ざさずに館内の動線空間なども海側に開けたものとする。

 環境負荷低減やBCP(事業継続計画)にも注力。熱源水ネットワークなどの採用でCASBEE街区Sランクを取得した。「動物や魚の命を守る必要もある。停電に強い沖合自然導入方式の海水取水設備を採用し、中圧ガスを導入するなど阪神大震災時の教訓も生かした」と竹中工務店大阪本店設計部設計第6部門設計2グループの二宮卓也チーフアーキテクトは語る。

 行政側は、上屋のない公園地下の設備インフラ部分や、屋外に開いた水族館のプール水面・客席スタンドなどは建蔽率の対象としない措置を講じ、現行制度内での都市公園の活用を支援している。

24年 神戸須磨シーワールド
3棟の水族館の他、ホテルも新設
シャチとイルカの各スタジアムパフォーマンスプール、魚類やペンギン、アザラシなどの海獣類を展示するアクアライブ棟の3棟から成る水族館の他、ホテルなどを計画。松林になじむスケールの商業施設も設ける。事業体の1社であるグランビスタ ホテル&リゾートが千葉県「鴨川シーワールド」での運営経験を持ち込む
シャチとイルカの各スタジアムパフォーマンスプール、魚類やペンギン、アザラシなどの海獣類を展示するアクアライブ棟の3棟から成る水族館の他、ホテルなどを計画。松林になじむスケールの商業施設も設ける。事業体の1社であるグランビスタ ホテル&リゾートが千葉県「鴨川シーワールド」での運営経験を持ち込む
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❶神戸市須磨区若宮町1-1の一部、須磨浦通1-1・2 ❷神戸須磨Parks+Resorts共同事業体(代表構成団体:サンケイビル) ❸ ❹竹中工務店 ❺24年3月 ❻24年春 ❼RC造、SRC造・一部S造 ❽地上4階 ❾2万7781.55m2

❶所在地 ❷発注者、事業者 ❸設計者 ❹施工者 ❺竣工時期 ❻オープン時期 ❼主構造 ❽階数 ❾延べ面積