2022年12月28日、磯崎新が他界した。まだ学生だった1960年に鮮烈なデビューを果たして以降、国内外の建築界をリードした。晩年、87歳でプリツカー賞を受賞。歴史やアート、哲学、情報に造詣が深く、建築は表現の1つだったのかもしれない。時代の中心となる表舞台に立つことも多かったが、ときに“事件”を巻き起こし、世の中に問題を投げかけて楽しむ一面もあった。著した批評や作品集は100冊超。建築の創造と批評を繰り返しながら、常に一歩引いて時代を俯瞰(ふかん)する──。そんな「闘争」と「矛盾」に満ちた異能の建築家の実像に、関係者の証言から迫る。

2019年プリツカー建築賞を受賞した際の磯崎新氏(写真:AFP/アフロ)
2019年プリツカー建築賞を受賞した際の磯崎新氏(写真:AFP/アフロ)
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