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2022年末、国土交通省は25年にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)確認申請を試行すると宣言した。明確な目標を示したことの影響は大きい。建築界はBIMの普及に向けて新時代に突入しそうだ。

 「BIMの普及に向けて国が具体的な期限を示したことで、業界全体が本腰を入れてBIM活用に乗り出し、課題解決に向けた取り組みが加速するだろう」。国土交通省が設置した建築BIM推進会議(委員長:松村秀一・東京大学特任教授)の建築BIM環境整備部会で部会長を務める芝浦工業大学の志手一哉教授はこう語る。

 建築BIM推進会議では2019年に「建築BIMの将来像と工程表」を発行。BIMの標準的な活用方法を示すガイドラインの作成や、モデル事業などに取り組んできたが、BIM確認申請などの実現目標時期までは示していなかった。

 そんな中、22年11月に開催した建築BIM環境整備部会で、国交省住宅局建築指導課の宿本尚吾課長が「5年以内にBIMによる建築確認を部分的に開始する」と宣言。「建築BIMの将来像と工程表」の改訂に向けたタスク案を示した〔図1〕。

〔図1〕将来像の実現に向けたタスク案を示す
〔図1〕将来像の実現に向けたタスク案を示す
建築BIMの将来像と工程表の改訂に向けたタスク案。国土交通省が2022年11月に開催した建築BIM環境整備部会で示した(資料:国土交通省)
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 タスク案では、BIMの成熟度をレベル0~3の4段階に分類。25年度に「BIM間のデータ連携環境」(レベル2)を実現するとし、25年のBIM確認申請試行を目標に定めた。

 国交省住宅局建築指導課の恵﨑孝之企画専門官は、「BIMによる建築確認には複雑な課題があるため、一筋縄ではいかない。まずは審査時に確認する項目が法令で決まっていて、既に標準化に近いことが行われている部分に取り組む」と説明する。