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BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による確認申請を2025年に試行する目標を掲げた国土交通省。同省はBIMの社会実装を加速するために80億円の国費を投じる補助事業を創設した。

補助対象ソフトウエアは152種類
補助対象ソフトウエアは152種類
Grasshopper、Rhinoceros、SketchUp、ARCHITREND ZEROなどは補助対象外
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 「国もやっと本気になったと思って、BIM活用に取り組んでいってほしい」。国土交通省住宅局建築指導課の松本朋之課長補佐は、日経アーキテクチュアの取材にこう切り出した。

 BIMの導入効果などを検証するモデル事業に対して、これまで年間2億円程度の国費を投入してきた国交省。2022年度第2次補正予算では規模を80億円まで大幅に増額して「建築BIM加速化事業」を創設。中小の設計事務所や建設会社にBIMの浸透を図ろうと、これまでの路線から大きくかじを切った。

 加速化事業は、一定規模以上の建築プロジェクトを進める際、複数の事業者が連携してBIMデータの作成などを行う場合に、BIMソフトウエアの購入費などを国が支援するものだ。国交省はプロジェクトの代表を務める事業者の登録受け付けを23年1月16日に開始した。代表事業者は登録後、交付申請に進む〔図1〕。

〔図1〕代表事業者の登録は2023年3月末まで
〔図1〕代表事業者の登録は2023年3月末まで
BIMの社会実装を進めるために創設した「建築BIM加速化事業」の概要。BIMソフトウエアの利用費などを国が補助する。プロジェクトを進める際にBIMデータを作成することなどが補助を受けるための条件だ。プロジェクトの元請け事業者だけでなく、協力事業者も補助を受けられる。補助を受けた事業者は「建築BIM活用事業者」として、国土交通省のウェブサイトで公開される(資料:国土交通省)
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 対象となるプロジェクトの要件は、「建設する建物が3階以上で、延べ面積が1000m2以上」「23年度末までに基本設計や実施設計、施工のBIMモデルを作成するもの」など。建物の面積に応じて、設計費は2500万~3500万円、工事費は4000万~5500万円を補助する。補助金額は代表事業者が24年3月までに提出する報告書に基づいて決まる。

 松本課長補佐は、「BIM活用のメリットを理解するには講習を受けるだけでは足りない。使って初めて理解できるものだ。実際に自分たちが手掛けているプロジェクトで活用することでメリットを実感し、継続して活用してほしい」と話す。