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官公庁施設を多く手掛ける石本建築事務所が、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を用いた新たな試みに挑戦中だ。ボリュームスタディーなど設計の初期段階で、より正確な仕上げコストの把握を目指す。
庁舎などの公共建築では、設計の初期段階に概算事業費を求める際、直近の類似事例の平米単価を採用するのが一般的だ。ところが、最近の公共建築には縦方向に空間が広がる吹き抜けや、ピロティ形式の共用空間が多く、平米単価では精度の高いコスト算出が難しい側面がある。
2020年にデジタルイノベーショングループ(DIG(ディグ))を発足させ、BIMの活用に取り組んできた石本建築事務所は、建築のコストマネジメントを手掛けるエステム建築事務所(大阪市)と共同で「空間単価」に基づく概算事業費の算出に挑んでいる。
BIMの空間要素(ボリュームやゾーン、部屋)とコストデータベースをIDでひも付けて、空間ごとの仕上げの単価をつくる。これを用いてコスト感をリアルタイムに把握しながら、空間構成を決めていく。これが空間単価を用いたコスト算出の考え方だ。