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BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データを相互利用するに当たって課題になっているのが、モデリングルールの標準化だ。大林組は自社のルールを一般公開し、課題解決へ一石を投じた。

 設計や施工、維持管理といった建築生産プロセスの各段階で、設計者や施工者、協力会社、そして発注者がデータを相互利用することで威力を発揮するBIM。個別の技術開発は進んでいるものの、設計から維持管理まで、一気通貫でデータを活用するまでには至っていない。

 その原因の1つに、モデリングの標準ルールが定まっていないことがある。こうした状況を打開しようと、自社のルールを公開し、BIM活用時の参考にしてもらう動きが出てきた。大林組は2023年1月、自社のBIMモデリングルール「Smart BIM Standard」(以下、SBS)を、1年間の期間限定でウェブサイト上に一般公開した。

 10年にBIMを導入し、意匠、構造、設備の各分野の設計情報を1つのBIMモデルに統合する「ワンモデル」の構築を進めてきた同社。SBSは、BIMソフトウエアのRevit(レビット)を設計・施工で一貫利用する際の標準として18年に作成したものだ。Revitのデータが階層的な構成になっている特徴を生かして、BIMモデルを体系的に整理できるようにした〔図1〕。

〔図1〕1年間の限定で一般公開
〔図1〕1年間の限定で一般公開
大林組は2023年1月、同社のBIMモデリングルールを一般公開した(資料:大林組)
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大林組はBIMモデルを構成する各要素を「カテゴリ」「ファミリ」「タイプ」といった階層構造を使って分類している(資料:大林組)
大林組はBIMモデルを構成する各要素を「カテゴリ」「ファミリ」「タイプ」といった階層構造を使って分類している(資料:大林組)
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 大林組が公開したコンテンツは、SBSのコンセプトなどを説明する「説明ページ」と、丸紅アークログ(東京都港区)のArch-LOG(アークログ)を活用した「ダウンロードページ」で構成される。ダウンロードページでは、「Modeling Guide」やファミリ(部品)の命名規則などのマニュアルのほか、窓やドアといった建材のファミリやテンプレートを誰でも閲覧・利用できる〔図2〕。柱や梁のファミリなど、コンテンツは随時追加予定だ。

〔図2〕命名規則などのマニュアルも公開
〔図2〕命名規則などのマニュアルも公開
SBSで公開しているコンテンツ一覧。データをダウンロードするには、Arch-LOGのアカウントが必要だ。「ファミリ」の「窓」をクリックすると、BIMオブジェクトが表示される。柱や梁などのモデルも公開予定だ(資料:大林組、丸紅アークログ)
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