大阪市城東区の蒲生4丁目周辺。ここの「がもよんモデル」と呼ばれる空き家の再生術を学ぼうと、全国から大勢の自治体関係者などが視察に訪れる。同モデルをつくり上げたキーパーソンにノウハウと今後の展開を聞いた。
「がもよん」の愛称で地元住民に親しまれている蒲生4丁目周辺では、明治時代以降に建てられた木賃長屋や戸建て貸家が、店舗や宿泊施設などに次々と転用されている。2023年3月時点で使われている箇所は35〔図1、写真1、2〕。店の客や付近に住む人が増えて、街ににぎわいが生まれている。空き家の再生を手掛けるのは、蒲生4丁目に拠点を置くRPLAY(アールプレイ)の和田欣也代表だ。
和田代表はかつて阪神大震災を契機に木造住宅耐震診断士の資格を取得し、04年に耐震金物の製造販売を開始。空き家同然の長屋を改修して家賃を大幅アップさせたことがあった。
蒲生4丁目一帯の貸家を所有しているスギタグループ(大阪市)の杦田勘一郎代表がその噂を聞きつけ、築100年以上の米蔵の活用方法を相談。和田代表は天井を高くする大胆な改修で意外性のあるイタリア料理店に転用して、大成功させた。以来、和田代表はスギタグループが所有する空き家のテナント探し、改修設計・施工、家賃管理、店舗経営のサポートなどを担ってきた。これが後に、「がもよんモデル」と呼ばれることになる。