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どんな性別の人も利用できる「オールジェンダートイレ」を巡って米国で議論が起こっている。州によって対応が割れ、抗議運動も巻き起こる。権利拡大か否かの二元論に陥らず、建築設計者ができることとは。

性別に関係なく利用できる「オールジェンダートイレ」を巡っては米国でも意見が割れている。写真は米イリノイ州の公共施設に設置されたトイレ。サインにも工夫が見られる(写真:米イリノイ州上院民主党議員連盟)
性別に関係なく利用できる「オールジェンダートイレ」を巡っては米国でも意見が割れている。写真は米イリノイ州の公共施設に設置されたトイレ。サインにも工夫が見られる(写真:米イリノイ州上院民主党議員連盟)
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 米シリコンバレーにあるスタンフォード大学大学院に留学中のアジア人男性は、初めて学内でトイレを使用した際のことをこう思い出す。「目を疑った」。隣の個室から女性が出てきたからだ。

 同大学は2010年代後半から1人用トイレのオールジェンダー化を進め、20年以降は一部の多人数用トイレも共用とした。米国内でもいち早く動いた組織の1つだ。キャンパス全体で性別や国籍などの多様性を重視し、「全ての建物にオールジェンダートイレを設ける」などの目標をガイドラインに明記した。