木材を炭化させた「バイオ炭」を混和して、コンクリート内部に炭素を固定する。清水建設が2022年に公表した技術だ〔写真1〕。
「通常、有機物は大気中の二酸化炭素(CO2)に戻ってしまうが、炭化させれば戻らない。この状態でコンクリートに貯留すれば、実質的にCO2を削減したことになる」。同社技術研究所社会システム技術センターの山本伸也氏はこう説明する。
使用したのは製材時に出るオガ粉。炭素含有率は約9割で、他のバイオ炭に比べて多くの炭素を固定できるのが特徴だ。コンクリート1m3当たりオガ粉のバイオ炭60kgを添加することで、約160kgのCO2固定効果が得られる。
山本氏は、「施工性の高さが売りだ」と話す。ポンプ圧送に適応する流動性を持つため、現場打ちが可能。既に道路舗装で適用実績がある。
バイオ炭には木材由来の他にも、家畜ふん尿由来や製紙汚泥・下水汚泥由来など様々なものがある。
「オガ粉だけでは供給源が限られる。他のバイオ炭を活用できるようにするのが今後の開発テーマになる」。同社土木技術本部基盤技術部の幸田圭司氏はこう話す。
木質材料を使ったコンクリートは他にもある。樹木の主要成分「リグニン」を混和する「リグニンクリート」だ。大林組が22年に開発した。紙パルプ製造時の副産物を用いる。1m3当たり100kgのリグニンを添加することで、約240kgのCO2を固定できる。