台風19号の接近に伴い発生した竜巻が、千葉県市原市の住宅地を襲った。建物被害は10月30日時点で計89棟。住宅8棟と非住宅4棟が全壊した。台風の影響で竜巻が発生することは珍しくないため、注意が必要だ。
9月の台風15号による強風で、ゴルフ練習場の鉄柱が倒壊するなどの被害が出た千葉県市原市。今度は台風19号の接近に伴い発生した竜巻が同市に被害をもたらした〔写真1〕。
10月12日午前8時過ぎに同市を襲った竜巻で被害を受けた建物は計89棟。このうち住宅8棟と非住宅4棟が全壊した。横転した車の中にいた男性1人の死亡と、倒壊した住宅内にいた子どもなど計8人の負傷が確認されている〔図1〕。
建物被害 | 全壊 | 12棟 |
半壊 | 23棟 | |
一部損壊 | 54棟 | |
人的被害 | 死亡 | 1人 |
負傷 | 8人 |
被害は同市永吉地区から下野地区、潤井戸地区にかけて広がり、なかでも「下野」のバス停付近が著しかった。防災科学技術研究所の鈴木真一主任研究員は現地の被害状況から、竜巻は南東から北西方向に約2km移動したとみる〔図2〕。
バス停付近のビニールハウス内で竜巻の通過を体験した大橋安夫氏は、こう証言する。「ゴーという音が遠くから聞こえ、音と一緒に強風が近づいてきた。外に出ようとしたが風に押し戻されて出られず、ビニールが破れて支柱の鉄パイプがばらばらになった。1分以内の出来事だった」