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デジタル変革を実践するためには新たな専門性を持ったIT人材が必要になる。加えて価値創造サイクルの各プロセスを支援する業務分野別の人材も欠かせない。グーグルは組織や人材にこだわり、デジタル変革を実践している。

 この連載は企業に価値をもたらすデジタル変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)を組織としてどのように実践すべきかを、事例を交えつつ説明している。デジタル変革はAI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)をはじめとするデジタル技術を活用して、新たな事業やサービスの創出、顧客満足度の向上などを狙う取り組みを指す。

 デジタル変革を実行するためには「価値創造サイクル」を繰り返す必要がある。価値創造サイクルは、試行錯誤によって新たな製品・サービスや業務プロセスを生み出す「価値創発サイクル」、生み出した製品・サービスや業務プロセスをビジネスの中で活用しながら改良し続ける「価値増幅サイクル」、そして2つのサイクルを連結する「ブリッジプロセス」で構成する。

 前回はデジタル変革のプロセスを実行する組織について説明した。デジタル変革を実行する際には、専門組織を作っただけでは不十分だ。これまでユーザー部門、IT部門とされていた組織の役割を再定義するような抜本的な組織再編が必要になる。

図 デジタル変革の実行体制
図 デジタル変革の実行体制
ユーザー部門とIT部門を包含した機能が求められる
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 今回はデジタル変革を実践するIT企業の人材例を見ていこう。

デジタル変革を支える新IT人材像

 デジタル変革のための組織像でも見たように、持続的に価値創造サイクルを実現するためには、価値創発チーム、実用品のサービス部品開発チーム、価値増幅チームといった責任と権限を明確にしたチームを作り、運営していくことが重要になる。

 そこに配置される人材も、従来のIT人材に加え、新たな能力や役割が求められていく。従来のIT人材の専門性を拡張するとともに、業務分野別の人材を育成する必要がある。

従来のIT人材の専門性の拡張

 デジタル変革の組織を構成するメンバーは、従来の情報システム部門の人材の専門性を拡張する人材が欠かせない。デジタル変革に求められる人材の素養は、次の通りだ。

  • STEM(科学、技術、工学、数学)の専門性
  • 特定ビジネスの本質に関する理解
  • 手づくりの創造性の発揮
  • 変革のチームリーダー
  • 異なった強みを持つ多様な人材との協働

 従来のIT人材とは異なる新たなデジタル変革人材は、業務知識とモデリング技術といった複数の得意分野を持ち、自ら作成した業務仮説を自分の手でモデル化し、それを他のチームメンバーと共有できる多能な人材であることが望ましい。