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デジタル変革への投資を従来のIT投資と同じに考えてはいけない。戦略的投資と考え、将来の可能性を広げるために配分する必要がある。デジタル変革のテーマや不確実性を踏まえ、投資の方針を決めよう。

 この連載は企業に価値をもたらすデジタル変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)を組織としてどのように実践すべきかを、事例を交えつつ説明している。デジタル変革はAI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)をはじめとするデジタル技術を活用して、新たな事業やサービスの創出、顧客満足度の向上などを狙う取り組みを指す。

 デジタル変革への投資は、製品・サービスや業務プロセスといった新たな事業価値を生み出すことが目的だ。既存のビジネスの管理や効率化のためのIT投資の管理方法では適切に管理し、意思決定できない。

 そこで今回から2回に分けて、デジタル変革投資のマネジメント方法について説明する。

従来型のIT投資では限界

 まずは従来のIT投資の基本的な考え方を押さえよう。ポイントは2つある。1つめは個別の投資案件の効果と不確実性を評価し、投資に対する効果が小さいものや効果創出の不確実性が高すぎるものは、投資対象から外すことだ。

図 IT投資管理の基本的考え方
図 IT投資管理の基本的考え方
経営戦略における重要性とリターンの大きさを踏まえる
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 2つめは選別した投資案件を経営戦略における重要性と投資リターンの大きさの2軸で分類することだ。戦略的重要性も投資リターンも大きい案件が、全社的な重点プロジェクトとなる。

 戦略的重要性は大きいが投資リターンが小さい案件は、政策的に実施を判断するプロジェクトであり、なるべく投資額を抑制して一定の予算枠内で実施する。

 戦略的重要性は小さいが投資リターンの大きい案件は、事業部門が行っている自主事業的なプロジェクトの可能性が高いため、予算にゆとりがあれば実施する。戦略的重要性も投資リターンも小さい案件は投資対象外となる。

 デジタル変革の投資は不確実性が高い案件が多いため、初期段階の選別で全てが排除されないように考慮する必要がある。また経営戦略としてまだ目に見える形になっていない自主事業的な案件や、リターンの大きさが不明な案件も多く、優先的な投資の対象になりにくい。

 IT投資に十分な予算を確保している企業は少ないため、従来のIT投資の考え方を踏襲しているとデジタル変革案件に投資が行われない恐れがあるということだ。