創業家2代目の土屋裕雅氏はグループ各社が独自性を競う「ハリネズミ経営」を標榜。3人のプロCDOを招聘(しょうへい)してグループのDXを推進する。「とがる」企業の集合体を目指す異色の経営に迫る。
「オンラインショップをリニューアルしました」「在庫・売り場検索ができるようになりました」――。
ベイシアグループ企業のお知らせページや会員向けアプリ上にはDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の新サービス開始や機能追加の告知が続々と並ぶ。これはベイシアグループがこの数年、力を注いできたDXの賜物(たまもの)といえる。グループ企業の1社、ホームセンターのカインズを筆頭にエンジニアを大量採用し、DXの「内製化」を進めてきた。
土屋嘉雄氏が一代で築き上げたベイシアグループは、1958年に群馬県伊勢崎市で服地店として創業した「いせや」を前身とする小売り主体の企業グループだ。カインズや作業服のワークマン、スーパーのベイシアなど28社に及ぶ。
2021年2月期に初めて売上高1兆円の大台を突破。同年12月22日にはカインズが東急ハンズの買収を発表し、さらなる成長を目指す。「カインズが持つDX基盤や新サービスを高速で生み出す内製開発チームやオフショアの開発拠点などをフル活用し、東急ハンズの成長をドライブしていく」(カインズの高家正行社長)。